ICMJE とは,国際医学雑誌編集者委員会(International Committee of Medical Journal Editors) です. このページでは,医学系のトップジャーナルが採用している共通の統一投稿規定 (ICMJE Recommendations) に合わせた論文を TeX で書く Tips を集めましょう.
目次
医学の分野では,「医学雑誌投稿に関する統一投稿規定 (Recommendations for the Conduct, Reporting, Editing, and Publication of Scholarly Work in Medical Journals)」が国際医学雑誌編集者委員会 (International Committee of Medical Journal Editors) により作成されています. 現在 500 誌以上の雑誌が ICMJE Recommendations に従っています(ICMJE Recommendations の採用雑誌一覧). これは,1979 年に発表され,最初に会議を開催した都市の名をとってバンクーバースタイルと呼ばれています. 最新版は 2017 年 12 月版です. 日本語訳も存在します.
\documentclass[a4paper,titlepage]{article} \usepackage{graphicx} \usepackage{newtxtext,newtxmath} \usepackage[doublespacing]{setspace} \renewcommand{\listfigurename}{Legends of Figures} \usepackage[noheads,tablesfirst]{endfloat} \AtBeginDelayedFloats{\renewcommand{\baselinestretch}{2}} \makeatletter \renewcommand{\@makecaption}[2]{% \vskip\abovecaptionskip \hbox to \hsize{\hfil #1\hfil}% \vskip\belowcaptionskip} \makeatother
簡単にダブルスペース化するには,setspace.sty を使います. 部分的にシングルスペースや任意のスペーシングをしたい場合のコマンド・環境が setspace.sty に用意されています. 詳細は setspace.sty の中をのぞいてみてください.
ICMJE Recommendations では,タイトルページの要素として,
タイトルページは titlepage 環境の中に書きます. article に titlepage オプションをつけると,titlepage 環境や abstract 環境は自動的に改ページされます. ただし,ページ番号はふられません.
タイトルページに図の数や表の数を入れるには lastpage.sty を使います.
ページ番号はタイトルページからはじめて一連番号を付けることになっています.
最新版の ICMJE Recommendations ではページ番号の位置指定はなくなりました. ページ番号の位置を簡単に変更したい場合は,pageno.sty を使うとよいでしょう. 例えば右上なら下記のようにします.
\usepackage[outsidehead]{pageno}
最新版の ICMJE Recommendations では「十分な余白」に変更されましたが… 四方余白を1インチと指定されている場合は,fullpage.sty で簡単に四方余白を1インチにできます.
\usepackage{fullpage}
オプションなしで読み込むだけで OK です. もし,\usepackage[outsidehead]{pageno} と併用して本文と右肩のページ番号が重なる場合は,
\usepackage[outsidehead]{pageno}
をはずして,単に
\usepackage[myheadings]{fullpage}
とします. fullpage のその他のオプションには,plain, empty, headings があります.
ICMJE Recommendations では,図表は1つずつ独立したページで用意して,本文の後につけなければなりません. また,図はキャプションなしで用意し,図の裏に図番号などのラベルを貼ります.
いまのところの妥協案は下記の通り.
自分や共著者へのプレビュー用に通常通り figure 環境や table 環境を使い,投稿時に
\usepackage[noheads,tablesfirst]{endfloat}
とする.すると,図の挿入箇所に
[Figure 1 about here]
などと挿入され,図表は本文の後に回される. デフォルトでは図が表よりも先にくるので,tablesfirst というオプションを入れる.
endfloat を使っている場合,下記をプリアンプルに足す.
\AtBeginDelayedFloats{\renewcommand{\baselinestretch}{2}}
@makecaption を再定義する.
\renewcommand{\@makecaption}[2]{% \vskip\abovecaptionskip \hbox to \hsize{\hfil #1\hfil}% \vskip\belowcaptionskip}
図をキャプションなしにして,さらにページいっぱいに拡大する方法はいまのところ不明(誰か加筆してください). List of Figures の方はちゃんとキャプションがリストされているはず.
SI 単位を用います. SI 単位の入力をサポートするパッケージとして siunitx があります.
略語は初出の時にフルスペルで書かなくてはいけません. これを自動的に行ってくれる acromake.sty があります.
\acromake{ANSA}{{\tt ANSA}}{another nasty stupid acronym}
と書いておくと,
\ANSA is a new approach to the use of \ANSA, where \ANSA is ...
は
another nasty stupid acronym (ANSA) is a new approach to the use of ANSA, where ANSA is ...
となります. 自分がよく使う略語の定義ファイルを作成しておき,\input{} で読み込めば,略語の展開を気にすることなく,本文に集中できます.
ICMJE Recommendations の文献スタイルの例は,
ここにあります.
これは,Vancouverスタイルと呼ばれるもので,幸いにも
vancouver.bst
[詳細]が CTAN にあります.
これを使って
\bibliographystyle{vancouver} \bibliography{使用するbibファイル名}
とすれば OK です.
この vancuver.bst は,論文タイトルを bib ファイルにかかれているとおりに出力します.
Lacet などに投稿する際には文頭以外は小文字にした方がよいでしょう. 自動的に論文タイトルの文頭以外を小文字にするには,vancouver.bst の904行目付近の
FUNCTION {format.title} { title %%duplicate$ empty$ 'skip$ %% { "t" change.case$ } %%if$ "title" bibinfo.check }
この部分の%を削除します.
旧版の vancouver.bst では,例えば,bib ファイルの中に Donald E. Knuth と書かれていれば,
Knuth DonaldE と出力してしまいます.
bib ファイルの中を D. E. Knuth と代えれば,
Knuth DE と本来の出力をします.
vancouver.bst を編集して,Donald E. Knuth でも D. E. Knuth でも Knuth DE と出力するようにしましょう.
vancouver.bst の731行目が
"{vv~}{ll}{ ff{}}{ jj}"
になっている場合は
"{vv~}{ll}{ f{}}{ jj}"
と編集します.