Microsoft Windows > 基礎知識
しばしば TeX Forum などで「質問者が回答者の言っていることの意味がわからない」ということが起きますが,それは概して TeX 以前の問題で Windows の基礎知識が欠落していることが原因です.
Windows は GUI による直感的な操作でワープロやメール,インターネット閲覧などができるのですが,その技術だけを身につけた方に多いのが「Windows のパソコンならもう何でもできます」のような思い込みです. TeX に関しても現在では簡単なインストーラや統合環境・エディタが整っていますが,それらがうまくいかない場合のトラブルシューティングでは TeX の知識ではなく「コンピューターの基礎知識」あるいは「Windows の基礎知識」が不可欠です.
以下で,TeX Forum で何度も観測された事項に絞って説明します.
Windows で動くプログラムには,画面上にウィンドウを表示して動作するもの (GUI) の他に, 「青い画面」や「黒い画面」にコマンドを入力することで動作するもの (CUI) があります. このコマンドを入力する画面のことをコマンドラインといいます.
実は TeX もこのコマンドラインで動作するプログラムです. TeXworks などの統合環境を使っているとこのことがわかりづらいですが, 統合環境は TeX の本体ではなく,タイプセットするときに裏でコマンドラインの TeX のプログラムを呼び出しています. このことをご存知なかった方は,一度実際にコマンドラインからの TeX の実行を試してみるとよいでしょう. LaTeX入門/最初の例を参照して下さい.
Windows のコマンドラインインタプリタには,Windows PowerShell とコマンド プロンプト (cmd.exe) があります. Windows PowerShell は新しく,Windows 7 以降で搭載されており,Windows 10 Creators Update からは標準のコマンドラインインタプリタとなりました. コマンド プロンプトは古くからあるもので,最低限の機能は備わっているものの,Windows PowerShell には機能的に劣ります.
拡張子とはファイルの末尾に付いている「.(ピリオド)+英数字」のことで,ファイルの種類を示します. たとえば LaTeX のソースファイルであれば .tex(稀に .ltx),Microsoft Word ファイルであれば .docx(2007 以降)または .doc(2003 以前),PDF ファイルであれば .pdf といった拡張子が定められています.
TeX を使い始める前に(あるいはインストールする前に),拡張子や隠しファイル,隠しフォルダーを表示するように変更しておくと便利かもしれません. 拡張子の表示は,LaTeX 処理の周辺での思いがけない勘違いを予防することに役立ちますし,そのほかにも .jpg や .png といった画像ファイルの違いを普段から意識する助けにもなります*1.
拡張子を常に表示するための設定は,以下のようにして行います:
control foldersと入力することでも表示できます.
環境変数の設定は,以下のようにして行います.
1. システムのプロパティを起動します.
SystemPropertiesAdvanced.exeと打ち込んでも OK です.
2. システムのプロパティの[詳細設定]タブの「環境変数」をクリックします(設定から「環境変数を編集」で開いた場合はこの画面は開かれず,直接環境変数の設定画面が開かれます).
3. 編集したい環境変数を選択して「編集」をクリックすると,編集画面に移ります. 必要な値を追加するなどしたのち,[OK] で画面を閉じます.
4. 変更したら,Windows PowerShell やコマンド プロンプト,TeX 関連のソフトウェアを起動している場合は,いったん閉じてもう一度開きます. こうすることで,環境変数の変更が反映されます*2.