TIPA は東京大学の福井玲さんが作られた IPA(International Phonetic Alphabet,国際音声記号;謂ゆる発音記号)のフォントです.
TIPA の T は TeX または Tokyo(東京大学?)を意味するとのことです. 同じ福井さんが製作に携わった TSIPA をベースに,大幅に機能およびフォントデザインを改良したものです.
TIPA のフォントには IPA の記号のほか,アメリカの音声学,インド・ヨーロッパ言語,東アジアの言語学などで使用される音声記号が含まれています. これらは Computer Modern をベースに設計されており,Roman,Slanted,Bold Extended,Sans Serif,Typewriter 体など豊富な種類が使用できます(Italic 体はありません). また,Times 及び Helvetica にデザインを近付けたフォント xipa も含まれています.
https://ctan.org/pkg/tipa から最新版がダウンロードできます(執筆時点での最新版は tipa-1.3 です). CTAN:help/Catalogue/entries/tipa.html でもミラーされています.
TeX Live や W32TeX に最初から含まれています.
make が使える環境であれば,Makefile の先頭の PREFIX の定義を適宜変更し
$ make install
を実行します.
手動でインストールする場合には,展開されたファイル群を以下の場所に移動します(下記 $TEXMFLOCAL の部分はお使いの環境に応じて読み替えてください). 標準的な TeX のディレクトリ構成に従ったほうがよいでしょう.
移動したら,必要に応じて
mktexlsr
や
updmap --enable Map tipa.map
などを実行します.
その後 TIPA の配布に含まれる doc ディレクトリ内にある tipaman.tex をコンパイルしてみます. インストールに成功していれば,生成された tipaman.dvi の全ページが正常に表示されます.
\usepackage コマンドで tipa.sty を読み込めば,TIPA の機能を使用できるようになります.
%%% -*- mode: yatex; Coding: utf-8 -*- \documentclass[uplatex]{jsarticle} %\documentclass{ujarticle} \usepackage{tipa} \begin{document} ... \end{document}
特殊な記号を使用する場合には,tipa.sty の後に続けて tipx.sty を指定します.
%%% -*- mode: yatex; Coding: utf-8 -*- \documentclass[uplatex]{jsarticle} %\documentclass{ujarticle} \usepackage{tipa,tipx} \begin{document} ... \end{document}
音声記号の入力方法には次のものがあります. 英語の “explanation” の発音を表す記号 [ˌɛkspləˈneɪʃən] を例として挙げています.
\textipa{[""Ekspl@"neIS@n]}
{\tipaencoding [""Ekspl@"neIS@n]}
\begin{IPA} [""Ekspl@"neIS@n] \end{IPA}
[\textsecstress\textepsilon kspl\textschwa \textprimstress ne\textsci\textesh\textschwa n]
使用できるコマンドやフォントの詳細は CTAN:fonts/tipa/tipaman.pdf をご参照ください.