TeX は Donald E. Knuth によって開発された組版エンジン,言語処理系です.
単に「TeX」と言った場合,それが LaTeX のことを指している場合も多いのですが,TeX と LaTeX は本来区別されるべきものです.詳細は LaTeX の項目を参照してください.
TeX は「テック」または「テフ」([tex])と読みます。 どちらかというと日本の大学関係者の人は「テフ」派が多いようです。 英語圏では [tek],[tekh] または誤読ですが [teks],ドイツ語圏では「テヒ」([tɛç]) とも読むようです。 同様に LaTeX は「ラテック」「ラテフ」などと読みます。
TeX の仕事は組版を行うことです。
組版(くみはん)とは,印刷工程のひとつで,文字や図版などを紙面に配置し,構成することを指します。 ページといった,幅や高さなどの制約のある領域に,きれいに文章や図を押し込み配置する処理です。 TeX はこのような処理を自動化するシステムであり,組版エンジンとも呼ばれます。
一連の文章から紙面を構成する際,使用する言語や国と地域などによって,様々なルールがあります。 オリジナルの TeX では,主に英語などで組版を行う際のルールが実装されています。 ハイフネーションやリガチャ・カーニングなどの処理を自動化でき, その内容も種々のパラメータを調整することによりカスタマイズできることが特徴です。
TeX 以外にも組版を行うシステムはいくつかあります。 TeX 以外の組版・レイアウトシステムの項などを参照してください。
Knuth によるオリジナルの TeX に対し, Unicode 対応やその他の拡張を施した新たな TeX 処理系が開発されてきました. それぞれの処理系についてはその解説ページをご覧ください.
それぞれの関係性や特徴などをまとめた以下のリンクも参考になります.
pdfTeX は PDF 直接出力と Microtypography 機能を搭載した TeX の派生版です。
pTeX は日本語の処理のために拡張された TeX の派生プログラムです。 そこからさらに,e-TeX 拡張を取り入れた e-pTeX と, それに Unicode 対応版と合流した e-upTeX があります。 これらとは別に,pTeX-ng という,PDF 出力をするように拡張されたものもあります。
XeTeX は TeX に Unicode 対応や現代的なフォント技術とテキスト・レイアウトサービスを組み込んだ派生プログラムです。 OpenType の機能を通じて,高度な組版機能と様々な複雑な用字系をサポートします。 また,OpenType フォントを直接扱えるので,オリジナルの TeX のように,フォントのインストールに膨大な手間がかかるということがありません。
TeX のチュートリアルが TeX入門にあります。こちらをお読み下さい。
TeX のエンジンレベルのエラーについては,以下でメッセージへの対処法が説明されていますので,参考にして下さい.
LaTeX のエラーメッセージは LaTeX の項目にまとめてあります.
TeX を用いた組版を容易にするために作成されたマクロ集です.フォーマットと呼ばれることも多いです. 通常,TeX エンジンを起動するとコマンド名に対応したマクロパッケージがあらかじめ読み込まれた状態になります.
ここまではメジャーなものですが,他にも TeX Live には色々あるようです.
-ini オプションを付けて起動します.例えば,pdftex ならば次のようになります(INITEX という表示がつく).
$ pdftex -ini This is pdfTeX, Version 3.14159265-2.6-1.40.20 (TeX Live 2019) (INITEX) restricted \write18 enabled. **
各マクロパッケージのファイル (.ini) をこのまっさらな状態から読み込ませ,最後に \dump を実行することでダンプファイル (.fmt) ができます. 普段はこのようにして作成された fmt ファイルが読み込まれた状態で起動するわけです.
Windows や macOS に比べ,Linux の方が LaTeX の実行速度が速いようです. もし Windows や macOS を使用していて LaTeX の実行速度が遅いと感じる場合は,この機会に Linux を試してみるのも一つの手かもしれません.