macOS に TeX Live をインストールする場合,以下の方法があります。 お使いの macOS のバージョンによっては,ご利用になれないインストール方法もありますので,事前にはじめに:TeX Live 2019 のバイナリの動作環境をお読みください。
以下でそれぞれのインストール法およびセットアップ法を説明します。
macOS (OS X El Capitan 以降) に付属のヒラギノフォントを使用したい場合は,インストールと最新へのアップデートが完了した後で,ヒラギノフォント#macos-hiragino-setupを参考に設定を行ってください。 下記の理由により,これは特に必須というわけではありません。
macOS 用として配布される TeX Live 2019 のバイナリは,x86_64-darwin バイナリと x86_64-darwinlegacy バイナリの 2 種類があります。
お使いの macOS のバージョンに応じて,適切な方を選択する必要があります。 具体的には,以下の表を参照してください(✔ マークが macOS と対応するバイナリを示す)。 なお,MacTeX / BasicTeX に付属する TeX Live には x86_64-darwin バイナリのみが収録されていますので,レガシーな macOS では使用できません。
x86_64-darwin | x86_64-darwinlegacy | |
macOS 10.15 Catalina | ✔ | |
macOS 10.14 Mojave | ✔ | |
macOS 10.13 High Sierra | ✔ | |
macOS 10.12 Sierra | ✔ | |
OS X 10.11 El Capitan | ✔ | |
OS X 10.10 Yosemite | ✔ | |
OS X 10.9 Mavericks | ✔ | |
OS X 10.8 Mountain Lion | ✔ | |
Mac OS X 10.7 Lion | ✔ | |
Mac OS X 10.6 Snow Leopard | ✔ |
TeX Live のインストールガイド
を見ると MacTeX が推奨されていますが,MacTeX に付属する TeX Live には x86_64-darwin バイナリのみが収録されており,レガシーな macOS にはインストールできません。 一方,TeX Live 公式のインストーラを使えば,x86_64-darwin / x86_64-darwinlegacy いずれの環境でも TeX Live をインストールすることができます。
まず,ミラーサイトから install-tl-unx.tar.gz をダウンロードします.
$ curl -O http://mirror.ctan.org/systems/texlive/tlnet/install-tl-unx.tar.gz
install-tl-unx.tar.gz を展開します.
$ tar xvf install-tl-unx.tar.gz
展開したインストーラのディレクトリに移動します.
$ cd install-tl*
root 権限でインストーラを実行します. デフォルトでは Tcl/Tk による GUI インストーラが起動します.-no-gui オプションでテキストモードで起動します.-repository オプションでダウンロードするリポジトリを指定できます.
$ sudo ./install-tl -no-gui -repository http://mirror.ctan.org/systems/texlive/tlnet/
...
Actions: <I> start installation to hard disk <H> help <Q> quit
Enter command: I
I を入力してインストールを開始します. サーバーの接続エラーが発生したり,何らかの理由により取得したアーカイブに問題があったりした場合はインストールが途中でストップします. この場合は,以下のコマンドで途中から再開できたりできなかったりします.
$ sudo ./install-tl -no-gui -profile installation.profile
再開できない場合は接続先を変更するか,または ISO ファイルをミラーサイトからダウンロードしてインストールしてください.
インストールが終了したら /usr/local/bin ディレクトリ配下にシンボリックリンクを追加します.
$ sudo /usr/local/texlive/????/bin/*/tlmgr path add
上記の ???? は 2019,* は x86_64-darwin または x86_64-darwinlegacy にマッチすることが想定されていますがうまく動作しない場合は以下のようにして具体的なディレクトリ名を指定してください.
$ sudo /usr/local/texlive/2019/bin/x86_64-darwin/tlmgr path add
Xcode がインストールされていない環境下では,TeX Live のインストーラの実行中,および tlmgr によるアップデートの実行中に,次のようなダイアログが表示されて実行が中断される問題が知られています。
cc コマンドの実行のために Xcode Command Line Tools のインストールが要求されているのですが,実際には,Xcode のインストールは必須ではありません。 「今はしない」をクリックしてスキップして問題なく,そのままインストール・アップデートが続行できます。
なお,このダイアログを出さずに tlmgr を実行するために,次のような回避策が存在します。 例えば
$ sudo tlmgr update --self
の代わりに
$ sudo bash -c "CC=: tlmgr update --self"
と実行すれば,cc コマンドを無効化して tlmgr を実行できます( : は「何もしない」という bash の組み込みコマンド)。 この場合,Xcode のインストールが要求されることなく,tlmgr の実行が正常に完了します。
TeX Live をフルインストールする場合は MacTeX をインストールしてください。 Homebrew で MacTeX をインストールできます。 Ghostscript などのツールも Homebrew でインストールできます。
GUI-Applications ありの場合
$ brew cask install mactex $ sudo tlmgr update --self --all $ sudo tlmgr paper a4
GUI-Applications なしの場合
$ brew cask install mactex-no-gui $ sudo tlmgr update --self --all $ sudo tlmgr paper a4
TeX Live をフルインストールしたくない場合は BasicTeX をインストールしてください。 Homebrew で BasicTeX をインストールできます。
$ brew cask install basictex $ sudo tlmgr update --self --all $ sudo tlmgr paper a4 $ sudo tlmgr install collection-langjapanese
インストールのやり方などの事例も参考になります。
MacPorts 用に TeX Live/MacPorts というパッケージが提供されています。 TeX Live/MacPorts をフルインストールする場合は
$ sudo port install texlive +full
日本語関連のパッケージと texlive-luatex パッケージと texlive-xetex パッケージと texlive パッケージをインストールする場合は
$ sudo port install texlive-lang-japanese texlive-luatex texlive-xetex texlive
を実行します。
インストールのやり方などの事例も参考になります。
ターミナルで,以下のコマンドを実行します。
$ sudo tlmgr update --self --all
--self は tlmgr 自体のアップデート,--all は TeX Live 構成要素のアップデートを実行します。 tlmgr は複数のリポジトリを管理できます。 TeX Live Utility は tlmgr の機能を GUI で実現するものですので,上記の機能をメニュー項目から実行できます。
ヒラギノフォント#macos-hiragino-setupを参考に設定を行ってください。
IPAexフォント/IPAフォントは TeX で使用可能な状態でインストールされていますので,updmap-sys の設定だけですぐに pdf に埋め込めます。
みかちゃんフォントなどのフリー書体(フォント参照)や,その他の日本語書体を埋め込みたい場合は,そのためのスタイルファイルを利用するのが便利でしょう。 設定は,多少面倒です。 PXmika パッケージ,MacTeX 2013とみかちゃんフォントの設定を参考にしてください。 自力で一から構築する場合は MacPortsのpTeXにおける和文多書体環境の整えかた が参考になるかもしれません。
$ sudo kanji-config-updmap-sys <fontname> (otf-<fontname>.map にしたがってフォントを埋め込む) $ sudo kanji-config-updmap-sys auto (自動的に <fontname> のいずれかを埋め込む) $ sudo kanji-config-updmap-sys nofont (PDF にフォントを埋め込まない) $ sudo kanji-config-updmap-sys status (現在の埋め込み設定を確認する)
$ ptex2pdf -u -l -ot '-synctex=1' -od '-f uptex-ipaex.map' hoge.tex
インストール方法によってディレクトリが異なりますので,ここにまとめておきます。
TeX Live 2019 / MacTeX-2019 [改訂第7版]LaTeX2e美文書作成入門第2刷 基本インストール /usr/local/texlive/2019 /Applications/TeXLive/Library/texlive/2017 TEXMFLOCAL /usr/local/texlive/texmf-local /Users/Shared/TeXLive/texmf TEXMFHOME ~/Library/texmf ~/TeXLive/texmf
$ kpsewhich -var-value TEXMF
TeX Live 2019 / MacTeX-2019 TEXMFCONFIG ~/Library/texlive/2019/texmf-config TEXMFVAR ~/Library/texlive/2019/texmf-var TEXMFHOME ~/Library/texmf
VirtualBox などの仮想マシン上に Linux をインストールし,その上で TeX Live を使用する方法もあります。 macOS を使用していて LaTeX の実行速度が遅い場合は Linux を使用するのも一つの手です。