ASCII 文字を用いた転写表記とは,アクセント附きローマン文字を TeX や BibTeX ソースの中で書き表すための方法(の一つ)です。 -現行の標準方法でもあります。 -“transliteration” (翻字,文字転写,字訳)であり, “transcription” (音声転写,音訳)ではありません。 -その表記テーブルは 『[[[改訂第4版] LaTeX2e 美文書作成入門:http://oku.edu.mie-u.ac.jp/~okumura/bibun4/]]』 などの書籍に掲載されています。 -ただし各種の文字に対しては,正常にタイプセットするために パッケージを用いるなどの各種の方法が必要になることがあります。 --例えば下記の TeX ソース例のような ベトナム文字の “\~{\^e}” などへの対処です。 --詳しくは [[TeXWiki:pTeX と多言語処理>pTeXと多言語処理]] をご参照ください。 --ただし BibTeX ソースの場合には,“\~{\^e}” のような “\” で 始まる転写文字を常に “{”, “}” でさらに括る必要があります。 ---例えば,“{\~{\^e}}” としてください。 ---これを実現させるために下記の utf82tex (Perl スクリプト)には オプション (-b) が用意されているようです。 -ちなみに日本語文字については ISO-2022-JP (JIS), EUC-JP, or Shift_JIS コードの 使用が標準です(現行の普通の pTeX, pLaTeX を用いている場合です)。 -なお,将来は転写表記や ISO-2022-JP コードなどの利用ではなくて, 全て UTF-8 コードを用いて TeX ソースを書き, タイプセットできることが普及することになるのかもしれません。 --全て UTF-8 コードで書かれたソースを 上記のような現行の標準表記方法へ変換したい場合には, 「[[UTF-8 による TeX 文書の作成 — Utf82TeX:http://www.ceres.dti.ne.jp/~i-yasuda/tex/utf82tex.html]]」 をご参照ください。 ---上記では utf82tex (Perl スクリプト)が提供されており,UTF-8 コードの 文字から転写表記を調べたい際にも用いることができます。 --角藤さんの&ref(ftp://ftp.ring.gr.jp/pub/text/TeX/ptex-win32/utils/utf8toutf.zip,utf8toutf); (これは C プログラム)も同様の目的のために用いることができますが, その変換テーブルに関しては上記ほどパーフェクトではないようです。 ---ただし高速ですし EUC-JP or Shift_JIS コードへの変換機能も 内蔵されていますので,使いやすいと思う方も多いと思います。 ---文字コードを判定し,utf8toutf を利用して タイプセットするシェルスクリプトの一例です: #!/bin/sh ### -*- mode: shell-script; Coding: euc-jp-unix -*- JOBNAME=`basename $1 .tex` /usr/local/bin/nks -guess $JOBNAME.tex | grep -e "UTF-8" > /dev/null if [ $? -eq 0 ] then ### もしも \input{} コマンドで外部ファイルを取り込んでいる場合には, ### マージ処理を行った後でファイルに下記のような文字コード変換を行ってください。 /usr/local/bin/utf8toutf -s < $JOBNAME.tex > $JOBNAME.sjis /usr/local/bin/platex $JOBNAME.sjis else /usr/local/bin/platex $JOBNAME.tex fi /usr/local/bin/dvipdfmx $JOBNAME.dvi --「[[qa:46042]] Unicode への移行」という丁寧で重要な投書がありました。 TeX ソース例: -(1) %%% -*- mode: yatex; Coding: iso-2022-jp; Encoding: ISO-2022-JP -*- \documentclass{jsarticle} \usepackage[T5]{fontenc} \usepackage{lmodern} \usepackage{dblaccnt} \usepackage{vietnam} \begin{document} ベトナム人の苗字にはNguy\~{\^e}n(阮)とTr\`{\^a}n(陳)とがとても多い。 この苗字は,ベトナム(Vi\d{\^e}t Nam,越南)のかつての王朝であった 阮朝(nh\`a Nguy\~{\^e}n, 1802--1945)と陳朝(nh\`a Tr\`{\^a}n, 1225--1400)の それぞれの皇帝の苗字から取られているらしい。 日本でも有名なホー・チ・ミン(H\`{\^o} Ch\'i Minh,胡志明,1890--1969)の 幼名もNguy\~{\^e}n Sinh Cung(阮愛國)である。 \end{document} -(2) %%% -*- mode: yatex -*- \documentclass{article} \begin{document} \noindent \`o \\ % ò (grave) \'o \\ % ó (acute) \^o \\ % ô (circumflex) \~o \\ % õ (tilde) \.o \\ % ȯ (dot) \"o \\ % ö (umlaut) \=o \\ % ō (macron) \u{o} \\ % ŏ (breve) \v{o} \\ % ǒ (caron) \H{o} \\ % ő (double acute) \d{o} \\ % ọ (dot below) \c{c} \\ % ç (cedilla) \r{u} \\ % ů (U+16F latin small letter u with ring above) \b{b} \\ % ḇ (U+1E07 latin small letter b with line below) \t{oo} \\ % o͡o (U+361 combining double inverted breve [= ligature tie]) \l \\ % ł ("l" with stroke) \o \\ % ø ("o" with stroke) \oe \\ % œ \ae \\ % æ \ss \\ % ß (sharp "s") \aa % å ("a" with ring) \end{document} *コメント [#mlcomeiz] - 上記のような例を調べられる転写表記テーブルはどこかのwebサイトにもあるでしょうか? -- kd &new{2007-02-18 (日) 14:29:42}; - 通常は各言語パッケージのマニュアル等に記載があると思われますが,それ以外に,ということでしょうか。 -- 栗山 &new{2007-02-25 (日) 16:50:30}; - アクセント付き文字について簡単な表がありました.http://cns-guide.sfc.keio.ac.jp/2001/11/2/1.html#SECTION012213200000000000000 -- kd &new{2007-02-27 (火) 18:36:25}; - なるほど,plainTeXで提供されるレベルの,ということでしたか。それなら入門書類でも紹介されていると思います。私は多数存在する各言語パッケージの(独自の)転写方法が網羅的に記載されているサイトがあるか,という意味に取り違えていました(そんなサイトはないと思いますが)。 -- 栗山 &new{2007-02-27 (火) 22:54:37}; #comment