* 古い情報 [#e8f970ff]

このページは TeX Forum のディスカッショントピック [[forum:1477]] を元に作成されました.

TeX Wiki には大勢の皆様のご尽力により「最新の TeX 情報」が多く掲載されています.
ただその反面,古い情報は次々と削除され,あとから参照するには

- [[バックアップ一覧:http://oku.edu.mie-u.ac.jp/~okumura/texwiki/?cmd=backup]]
- [[バックアップ一覧:https://texwiki.texjp.org/?cmd=backup]]
- 各項目の個別ページ上部のバックアップ
- [[TeX Wiki の Internet Archive:http://web.archive.org/web/*/http://oku.edu.mie-u.ac.jp/~okumura/texwiki/]]
- TeX Wiki の Internet Archive
--http://web.archive.org/web/*/https://texwiki.texjp.org/
--http://web.archive.org/web/*/http://oku.edu.mie-u.ac.jp/~okumura/texwiki/

を参照するほかありません.しかし,

- 何らかの事情で古い TeX を使っている方
- 古い TeX 環境から新しい環境に乗り換えたい方

にとっては,重要な変更点を効率よく知りたい場合があるかもしれません.

一方,一般の Web 上の情報は時に古い「バッド・ノウハウ」をあたかも最新であるかのように伝承し続けることがあります.

そこで,一つの案として「古い情報」という本項目を作成し,重要な変更点を削除する代わりにこちらへ情報を移動するというご提案です.

- 以前は推奨されていたが,現在の最新の環境では非推奨とされているノウハウと,現行の代替ノウハウの解説
- TeX ディストリの重要な仕様変更

などの情報が集まることを想定しています.

// とりあえず試験的に設置しました.(2015-01-10)

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#contents
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** TeX ディストリビューションの重要な仕様変更 [#u592b4c3]

*** ディレクトリ名の変更 [#c4916968]
-2007 年 7 月 31 日以降の [[W32TeX]] では,一旦 $TEXMF/ptex に変更されていたディレクトリ名が $TEXMF/tex に戻りました.
このため,それ以前の W32TeX からアップデートする際には,古いものをアンインストールしてから行うか,少なくとも $TEXMF/ptex ディレクトリを消してください.
-2013 年 4 月 8 日以降配布されている [[W32TeX]] では,それ以前の
 share/texmf
なるディレクトリ名が
 share/texmf-dist
に変更されています.
これは「TeX Live 2013 で,texmf と texmf-dist が texmf-dist に統一されるため,できるだけ近い状態にするため」です.
このため,それ以前の W32TeX から最新にアップデートする場合は注意してください.
*** [[W32TeX]] の仕様変更 [#c4916968]
-2007 年 7 月 31 日以降の W32TeX では,一旦 $TEXMF/ptex に変更されていたディレクトリ名が $TEXMF/tex に戻りました.
それ以前の W32TeX からアップデートする際には,古いものをアンインストールするか,少なくとも $TEXMF/ptex ディレクトリを消してください.
-2013 年 4 月 8 日以降配布されている W32TeX では,それ以前の share/texmf なるディレクトリ名が share/texmf-dist に変更されています.
それ以前の W32TeX からアップデートする際には,古いものをアンインストールするか,少なくとも share/texmf ディレクトリを消してください.
-その他のプログラム名の変更,エンジンの仕様変更については,[[過去の W32TeX の仕様変更>古い情報#w32tex-changelog-old]]を参照してください.

*** extractbb の自動実行を許可 [#rf074b4b]

[[TeX Live]] 2014 以前,[[MacTeX>TeX Live/Mac#mactex]]-2014 以前では,(u)pLaTeX + dvipdfmx で画像を挿入するために必要な extractbb というプログラムの実行は自動化されていませんでした((これは,TeX Live 2013 までの extractbb が画像ファイルと同じフォルダに .xbb というファイルを出力する仕様であったため,作業ディレクトリを余分なファイルで汚すことは認めないという方針に反したからです.これは TeX Live 2014 で .xbb ファイルを出力しない仕様に変更されました.)).このため,graphicx パッケージを用いて画像を挿入するためには
[[TeX Live]] 2014 以前,[[MacTeX]]-2014 以前では,(u)pLaTeX + dvipdfmx で画像を挿入するために必要な extractbb というプログラムの実行は自動化されていませんでした((これは,TeX Live 2013 までの extractbb が画像ファイルと同じフォルダに .xbb というファイルを出力する仕様であったため,作業ディレクトリでないフォルダを余分なファイルで汚すことは認めないという方針に反したからです.画像ファイルは,作業ディレクトリでないフォルダに存在することもあることに注意して下さい.これは TeX Live 2014 で .xbb ファイルを出力しない仕様に変更されました.)).
このため,[[graphicx]] パッケージを用いて画像を挿入するためには

-あらかじめ extractbb を実行して .xbb ファイルを作成する
-texmf.cnf を編集して extractbb の自動実行を許可する設定を行う
-extractbb の自動実行を許可する設定を行う → [[その手順>extractbb の自動実行許可の設定]]

のいずれかの作業が必要でした.TeX Live 2015 では extractbb の自動実行が許可されましたので,特に設定する必要がなくなりました((従来も [[W32TeX]] をお使いの場合や,[[美文書第6版:http://oku.edu.mie-u.ac.jp/~okumura/bibun6/]]からインストールした場合は,texmf.cnf の shell_escape_commands に extractbb が指定されていましたので,特別な作業は不要でした.)).以下に「自動実行を許可」する方法をアーカイブとして残しておきます.
のいずれかの作業が必要でした.
TeX Live 2015 では extractbb の自動実行が許可されましたので,特に設定する必要がなくなりました.

-Windows の場合は C:\texlive\texmf-local\web2c\texmf.cnf
-OS X, Linux の場合は /usr/local/texlive/texmf-local/web2c/texmf.cnf

というファイルに
** 以前は推奨されていたが,現在の最新の環境では非推奨とされるノウハウ [#nc0a5e50]

 shell_escape_commands = \
 bibtex,bibtex8,bibtexu,upbibtex,biber,\
 kpsewhich,\
 makeindex,upmendex,texindy,xindy,\
 mpost,upmpost,\
 repstopdf,epspdf,extractbb
*** 図の挿入:graphicx パッケージ・color パッケージのドライバ指定 [#g29113d8]

を書き足し,管理者権限で
[[graphicx]] パッケージや color パッケージを読み込む場合,昔は「DVI ウェアとして [[dvipdfmx]] を用いる場合は,ドライバ指定(オプション)は “dvipdfm” を指定します」と説明されていました.

 mktexlsr
 \usepackage[dvipdfm]{graphicx,color}

を実行します.これで,extractbb を含むコマンドが自動実行されるようになります.
仮に Unix 系で管理者権限のないアカウントをお使いの場合は,以下の記事を参照してください.
-[[管理者権限(sudo)無しで extractbb の自動起動を有効化する:http://qiita.com/zr_tex8r/items/6f6034d04eddb63ac15b]]
しかし,現在(2007 年以降)では dvipdfmx 用のドライバファイルが用意されているので,ドライバオプションは “dvipdfmx” とすることが推奨されます.((『LaTeX2ε美文書作成入門』では,改訂第4版から dvipdfmx オプションが登場しており,改訂第5版では dvipdfm オプションのほうは原則として出現していないようです.(ただし,[[Beamer]] のところでは [[hyperref]] の dvipdfmx オプションが安定していなかったか何かの理由で,例外的に dvipdfm が指定されています.)))

なお,ドライバオプションについては,多くの場合,

** 以前は推奨されていたが,現在の最新の環境では非推奨とされるノウハウ [#nc0a5e50]
 \usepackage[dvipdfmx]{graphicx}

*** 図の挿入:graphicx パッケージ・color パッケージのドライバ指定 [#g29113d8]
のようにパッケージ毎に指定すると説明されています.
しかし実際は,文書クラスのオプション(グローバルオプション)として指定することも可能です.
(この場合,dvipdfmx オプションをサポートするパッケージの全てについて自動的に適用されます.)

以前は「ドライバに [[dvipdfmx]] を用いる場合でも dvipdfm と指定します」と説明されていましたが,2015 年現在では
 \usepackage[dvipdfmx]{graphicx}
のように,dvipdfmx と指定するのが推奨です.
同様に color パッケージを使用しているときは
 \usepackage[dvipdfmx]{color}
とする必要があります((『LaTeX2ε美文書作成入門』シリーズでは,改訂第4版から登場しており,改訂第5版では dvipdfm オプションのほうは([[Beamer]] のところで [[hyperref]] の dvipdfmx オプションが安定していなかったか何かの理由で dvipdfm にしてしまっている以外は)出現していないようです.)).
 \documentclass[a4paper,dvipdfmx]{jsarticle}

こちらの方がトラブルが起こりにくいため,最近ではこの方法が推奨されています.

画像挿入については[[LaTeX入門/図表]]に基本事項の解説があります.

-参考:[[graphicx と color の危険な関係:http://qiita.com/zr_tex8r/items/442b75b452b11bee8049]]

*** 図の挿入:mediabb パッケージ [#m31e6ff8]

[[dvipdfmx]] の前身である古い dvipdfm を使っていた時代には,現在の「extractbb の自動実行」に相当する機構がなかったため,ユーザが手動で ebb(extractbb の前身)を起動する必要があり,この面倒を解決する手段として,[[mediabb パッケージ:http://hima-jew.chobi.net/Blog/wordpress/?p=251]]が用いられていました.
これは「TeX プログラムで PDF 文書を簡易解析してそのバウンディングボックス情報を取得する」というものです.

しかし,mediabb パッケージは dvipdfm(あるいはかなり昔の dvipdfmx)での利用を前提としています.
従って,(新しい)dvipdfmx と一緒に使うことは全く考慮されておらず,その場合の動作は未定義です(全般的にかなり不合理な挙動を示します).
また,PDF ファイルの構造によっては mediabb パッケージによる簡易解析が失敗することがあり,特に最近のソフトウェアが出力する PDF ファイルではほとんどの場合失敗してしまいます.

-mediabb.styはW32TeXで使えますか [[forum:1354]]
-[[mediabb パッケージが(あまり)役に立たない話:http://d.hatena.ne.jp/zrbabbler/20140530/1401462549]]
-[[dvipdfmx で mediabb できない件(1):http://d.hatena.ne.jp/zrbabbler/20140803/1407089421]],[[(2):http://d.hatena.ne.jp/zrbabbler/20140804/1407167938]]

mediabb パッケージを使わずに \usepackage[dvipdfmx]{graphicx} とし,extractbb を使ってバウンディングボックスを取得する方法を使ってください.
[[LaTeX入門/図表]]に基本事項の解説があります.

※比較的新しい(2015年に書かれた)ブログ記事等でも,mediabb パッケージを使って PDF 形式の図を pLaTeX + dvipdfmx で挿入するという方法が解説されていることがありますので,注意してください.

*** dvipdfm の使用 [#pe307fc6]

dvipdfm と dvipdfmx は別のものなので,DVI ウェアとして dvipdfm を利用する場合は graphicx・color パッケージのドライバ指定は dvipdfm にする,というのが TeX Live 2012 以前では正しい方法でした.
ところが,TeX Live 2013 以降では,(複雑な経緯があって)dvipdfm のドライバファイルが使えない状態になっています.理由は
[[TeX Live 2013 でドライバファイル dvipdfm.def が削除された:http://www.tug.org/svn/texlive?view=revision&revision=30161]]からです.

-[[dvipdfm 終了のお知らせ(ただし2年前):http://d.hatena.ne.jp/zrbabbler/20150916/1442413624]](2015-09-16 の記事)

従って,graphicx・color パッケージを読み込む場合は,dvipdfmx などの dvipdfm 以外の DVI ウェアを利用する必要があります.

W32TeX では $INSTALLDIR\share\texmf-dist\tex\latex\graphics-otherdef\dvipdfm.def に dvipdfm.def が存在します.

*** 古い形式のコマンド・パッケージ・作法 [#g5e418af]

[[使ってはいけない LaTeX のコマンド・パッケージ・作法:http://ichiro-maruta.blogspot.jp/2013/03/latex.html]]に書かれているものを挙げておきます.
-{\bf ...} や {\it ...} のようなフォントスタイル変更(紛らわしいが,\em は古いコマンドではない)
--\textbf{...} や \bfseries のように書くのが正しい.
--\textbf{...} や {\bfseries ...} のように書くのが正しい.
--なお,\bf と \bfseries は等価ではない.
「Microsoft Word の [B] ボタン」に相当するのは後者のほう.
-eqnarray 環境,eqnarray* 環境
--amsmath パッケージが提供する align 環境,align* 環境を使う.
-$$...$$ によるディスプレイ数式,displaymath 環境
--\[...\] を用いる.
--\[...\] を用いる.$$...$$ は「古い」ではなく,そもそも LaTeX では間違い.
--参考 [[1:https://twitter.com/zr_tex8r/status/597749305164759041]] [[2:https://twitter.com/zr_tex8r/status/597766041196867586]]
-figure 環境の中の center 環境
--\centering というコマンドが存在する.
-graphics パッケージ
--graphicx パッケージを用いるべき.
--[[graphicx]] パッケージのほうが高機能.
//↑Maruta 氏の記事も l2tabu も「graphics がタブー」とは言っていないのだが?
-EPS 形式の図(完全に不可とまではいえないが,最近なら他の画像形式がベスト)
--[[日本人のための LaTeX タブー集 ~画像読込編~:http://qiita.com/zr_tex8r/items/5413a29d5276acac3771]]
---Adobe Acrobat Distiller DC を持っていないのに dvips を使っている人に: dvips を使う理由はなんですか?
---Adobe Acrobat Distiller を持っていないのに dvips を使っている人に: dvips を使う理由はなんですか?
---dvipdfmx を使っているのに EPS 画像を使っている人に: EPS 画像を使う理由はなんですか?
---参考 [[1:https://twitter.com/h_okumura/status/235553029003304960]] [[2:https://twitter.com/h_okumura/status/361278182499954688]] [[3:https://twitter.com/h_okumura/status/355652033468039169]] [[4:https://twitter.com/h_okumura/status/142110946217832448]] [[5:https://twitter.com/h_okumura/status/142107817988460544]] [[6:https://twitter.com/h_okumura/status/83659755138195456]]
[[7:https://twitter.com/h_okumura/status/612792211730608128]]
[[8:https://twitter.com/h_okumura/status/612868673523441665]]
[[9:https://twitter.com/h_okumura/status/613129201596542976]]
[[10:https://twitter.com/h_okumura/status/841084652467048449]]
-subfigure パッケージ,subfig パッケージ
--subcaption パッケージのほうが互換性に優れるらしい.
-appendix 環境
--\appendix というコマンドが存在する.
// ここから先はどのくらい NG なんでしょう?
-\oddsidemargin などの調整,\hoffset, \voffset の変更
--よほど理解している人しかいじってはいけないパラメータ.[[geometry]] などを推奨.
-article.cls, report.cls, book.cls, jarticle.cls, jreport.cls, jbook.cls
--「古い」わけではないが,余白が広いと感じるなら,ほかのクラスファイルを使う.
--jarticle.cls, jreport.cls, jbook.cls は JIS 組版規則に合わないので,jsarticle.cls や jsbook.cls のほうが好まれる.
// ここから先はどのくらい NG なんでしょう?
-enumerate パッケージ,mdwlist パッケージ
-fancynum パッケージ,SIstyle パッケージ,SIunits パッケージ,units パッケージ,unitsdef パッケージ
-mathptm パッケージ,pslatex パッケージ,times パッケージ

*** DVI ファイルでのプレビュー:dviout や xdvi の利用 [#je1d5241]

TeX 出力をプレビューする場合に,以前は Windows 環境では [[dviout]], Linux 環境では [[xdvi]] による DVI ファイルのプレビューがよく用いられていましたが,dviout には
TeX 出力をプレビューする場合に,以前は Windows 環境では [[dviout]],Linux 環境では [[xdvi]] による DVI ファイルのプレビューがよく用いられていましたが,dviout には

- 挿入した画像が適切に表示されない
- CID に完全対応していない(Adobe-Japan1 の CID 直接参照の機能は無い)
-- 代わりに CID → Unicode の変換を経由した表示機能があるが,不完全
-- このため,[[OTF]] パッケージに完全対応していない
- PDF や PostScript の機能に強く依存するパッケージに未対応
-- 非対応パッケージ例:[[TikZ]], [[PSTricks]], [[media9]]
-挿入した画像が適切に表示されない
-CID に完全対応していない(Adobe-Japan1 の CID 直接参照の機能は無い)
--代わりに CID → Unicode の変換を経由した表示機能があるが,不完全
--このため,[[OTF]] パッケージに完全対応していない
-PDF や PostScript の機能に強く依存するパッケージに未対応
--非対応パッケージ例:[[TikZ]], [[PSTricks]], [[media9]]

などの問題があります.xdvi には日本語が表示されない不具合が生じる場合があります.

また,最終的には dvipdfmx をもちいて PDF ファイルを出力することが多いと思いますが,この場合「編集中は dviout」「最後は dvipdfmx」という二つの dviware を使わなければならず,トラブルが起こりがちです.
また,最終的には dvipdfmx をもちいて PDF ファイルを出力することが多いと思いますが,この場合「編集中は dviout」「最後は dvipdfmx」という二つのドライバを使わなければならず,トラブルが起こりがちです.
たとえば [[graphicx]] パッケージによる図の挿入はドライバに依存しますので,複数のドライバを一度に利用しようとすると図がずれる,正しい大きさで表示されないなどのトラブルが起きます.

こうした問題は,DVI ではなく PDF ファイルでプレビューをすれば解決できます.
「Adobe Acrobat Reader DC ではファイルがロックされてしまって使い物にならなかった」と思われるかもしれませんが,以下に挙げるように Adobe Acrobat Reader DC 以外の多くの PDF ビューワではロックされずに快適にプレビューすることができます.
「Microsoft Edge や Adobe Acrobat Reader ではファイルがロックされてしまって使い物にならなかった」と思われるかもしれませんが,以下に挙げるように Microsoft Edge, Adobe Acrobat Reader 以外の多くの SyncTeX に対応した PDF ビューワではロックされずに快適にプレビューすることができます.

-Windows の場合:[[SumatraPDF]], [[TeXworks]], [[TeXstudio]]
-OS X の場合:[[TeXworks]], [[TeXShop]], [[TeXstudio]], [[Skim]]
-Windows の場合:[[SumatraPDF]], [[Evince]], [[Okular]], [[TeXworks]], [[TeXstudio]]
-macOS の場合:[[Skim]], [[TeXShop]], [[TeXworks]], [[TeXstudio]]
-Linux の場合:[[Evince]], [[Okular]], [[zathura]], [[qpdfview]], [[TeXworks]], [[TeXstudio]]

src-special による相互参照機能についても,同等のことが [[SyncTeX]] によって実現できます.
[[src-specials>special 命令#src-specials]] による相互参照機能についても,同等のことが [[SyncTeX]] によって実現できます.

*** 統合環境:WinShell の利用 [#zc6d6db5]

Windows 環境の統合環境として,以前は [[WinShell]] がよく用いられていましたが,WinShell には

- エンコーディングが UTF-8 の場合に主なTeXプログラムの設定の [LaTeX] と [PDFLaTeX] に設定されているプログラム (初期設定では pLaTeX や pdfLaTeX) を実行すると Runtime Error! が発生する
- エンコーディングが ShiftJIS の場合に,いわゆる「ダメ文字」による文字化けが回避できない
((ダメ文字をファイル名に含む場合に,[[e-pTeX>e-pTeX#p4d23466]] に書かれているように -jobname= で指定してコンパイルする方法がありますが,WinShell でこの方法を用いるとクラッシュします.))
-「ワールドワイド言語サポートで Unicode UTF-8 を使用」が OFF でエンコーディングが UTF-8 の場合に主なTeXプログラムの設定の [LaTeX] と [PDFLaTeX] に設定されているプログラム (初期設定では pLaTeX や pdfLaTeX) を実行すると Runtime Error! が発生する
-エンコーディングが ShiftJIS の場合に,いわゆる「ダメ文字」による文字化けが回避できない
((ダメ文字をファイル名に含む場合に,[[ptexenc]] に書かれているように -jobname= で指定してコンパイルする方法がありますが,WinShell でこの方法を用いるとクラッシュします.))

という問題があります.
このため,Unicode 対応の [[upTeX>upTeX,upLaTeX]] を使うことができませんし,日本語での使用にも適していません.
このため,Unicode 対応の [[upTeX>upTeX,upLaTeX]] や [[LuaTeX]] が使いにくいですし,日本語版 Windows での使用には適していません.
UTF-8 エンコーディングに対応した他の統合環境を利用してください. → [[TeX 用統合環境・エディタ>TeX用エディタ]]

% [[TeX 用統合環境・エディタ>TeX用エディタ]] のページでは,UTF-8 対応かどうかに対応するカラムがないのですよね.「ライセンス」のカラムを作った時点で,「ウェア」のカラムを無くして,UTF-8 対応かどうかのカラムを付ければよかったのですが,編集する時間がなくて,アイディアがお蔵入りになってしまっています.-- kuroky
//% [[TeX 用統合環境・エディタ>TeX用エディタ]] のページでは,UTF-8 対応かどうかに対応するカラムがないのですよね.「ライセンス」のカラムを作った時点で,「ウェア」のカラムを無くして,UTF-8 対応かどうかのカラムを付ければよかったのですが,編集する時間がなくて,アイディアがお蔵入りになってしまっています.-- kuroky
//
//% ↑ 2017-08-01 以降は [[TeX 用統合環境・エディタ>TeX用エディタ]] のページに UTF-8 に対応かどうかのカラムが存在するようです。

* 現在使用している TeX のバージョンを確かめる方法 [#c58f91c1]

全ての TeX エンジンは,オプション --version を付けてコマンドラインで実行すると,
バージョン情報を表示します.例えば,
 tex --version
現在配布されている TeX エンジンの主なものには,次のようなものがあります:
 tex, pdftex, (etex は pdftex と同じもの), aleph, xetex,
 luatex, luajittex, ptex, eptex, uptex, euptex,
 jtex (TeX Live, tlptexlive にはなし), ptex-ng (TeX Live にはなし).
 jtex (TeX Live, tltexjp にはなし), ptex-ng (TeX Live にはなし).
沢山ありますが,主として使用されているものは
 pdftex, xetex, luatex, eptex, euptex
です.なお全ての TeX エンジンはオプション --help を付けてコマンドラインで実行すると,
使用法を表示します.使用法を確認するのは良いことです.例えば,
 tex --help

* W32TeX &aname(w32tex); [#d7e546c6]

**過去の W32TeX の仕様変更 &aname(w32tex-changelog-old); [#r48285ee]

-ftp://ftp.ring.gr.jp/archives/text/TeX/ptex-win32/current/ChangeLog.0
-ftp://ftp.ring.gr.jp/archives/text/TeX/ptex-win32/current/ChangeLog.1
-ftp://ftp.ring.gr.jp/archives/text/TeX/ptex-win32/current/ChangeLog.2
-ftp://ftp.ring.gr.jp/archives/text/TeX/ptex-win32/current/ChangeLog.3
-ftp://ftp.ring.gr.jp/archives/text/TeX/ptex-win32/current/ChangeLog.4

を参照。

-[2013/04/08]
--4月8日付の W32TeX から share/texmf なるディレクトリ名が share/texmf-dist に変更されています。これは,TeX Live 2013 で texmf と texmf-dist が texmf-dist に統一されたことにあわせたものです。
-[2012/08/21]
--2012/08/20 までの dvipdfmx, xdvipdfmx は SEAC bug が存在するので 2012/08/21 以降の W32TeX にしてください。
-[2011/12/24]
--upovf2ovp.exe と upovp2ovf.exe は無くなりました。更新された wovf2ovp.exe と wovp2ovf.exe が upTeX もサポートするようになっています。
-[2011/11/23]
--updvi2tty.exe は無くなりました。更新された dvi2tty.exe が upTeX の dvi もサポートするようになっています。
-[2011/11/06]
--updvipdfmx が無くなりました。(e-)upTeX でも dvipdfmx を使うようにしてください。hyperref でしおりを作成する場合は
 \AtBeginShipoutFirst{\special{pdf:tounicode UTF8-UTF16}}
が必要になりました。PXjahyper パッケージ を使用しても OK です。詳細は[[しおり(bookmark)つきのpdf文書作成>hyperref#fe7cad10]]を参照してください。
-[2011/10/22]
--euplatex が無くなりました。uplatex は uptex ではなくて euptex の上で動くようになりました。
-[2011/05/25]
--eplatex が無くなりました。platex は ptex ではなくて eptex の上で動くようになりました。
-[2011/03/21]
--ptex 関係において [[ptexenc:http://tutimura.ath.cx/ptexlive/?ptexenc%2F%CA%B8%BB%FA%A5%B3%A1%BC%A5%C9%C8%BD%C4%EA]] を用いて自動判別するようになりました。デフォルトで自動判別します。自動判別せずに手動で直接文字コードを指定する場合は
 platex -no-guess-input-enc -kanji=utf8 hoge.tex
 euplatex -no-guess-input-enc -kanji=utf8 hoge.tex
のように指定します。
-[2011/03/06]
--ptex 関係において nkf を用いて自動判別する機能が追加されました。デフォルトで自動判別します。
-[2010/08/14]
--pmpost.exe は pmetapost.exe に変更されました。 → 2011/12/23 に pmetapost.exe は元の名前 pmpost.exe に戻されました。
--upmpost.exe は upmetapost.exe に変更されました。 → 2011/12/23 に upmetapost.exe は元の名前 upmpost.exe に戻されました。
-[2010/05/06]
--dvipsk.exe は dvips.exe に統合されました。
-[2009/07/20]
--jbibtex.exe は pbibtex.exe に変更されました。([[qa:53349]])(2010/04/29 以降のものを使用してください → pbibtexの異常終了 ([[forum:442]]))
--upjbibtex.exe は upbibtex.exe に変更されました。
--jmpost.exe は pmpost.exe に変更されました。
--upjmpost.exe は upmpost.exe に変更されました。
-[2007/08/01]
--7月31日付の W32TeX から $TEXMF/ptex/ ディレクトリが無くなったので pLaTeX のスタイルファイルは $TEXMFLOCAL/tex/platex/ 下のフォルダ(ディレクトリ)に移動するか,新規に入れると良いでしょう。
-[2004/05/10]
--バージョンが 7.5.3 になって fmt ファイルの置き場所が変わったようです。上書きインストールする場合は $TEXMF/web2c// フォルダ(ディレクトリ)以下を削除してから行ってください。
-[2004/02/11]
--新しい [[TDS>TeX のディレクトリ構成]] (''T''eX ''D''irectory ''S''tructure) に準拠した W32TeX がそろそろミラーサイトに出始めているようです。ディレクトリ構造が変わっていますので,古い $TEXMF/ を削除あるいは名前変更してからインストールしてください。

*macOS 10.14 Mojave / macOS 10.13 High Sierra / macOS 10.12 Sierra / OS X 10.11 El Capitan への対応 &aname(mojave); &aname(high-sierra); &aname(highsierra); &aname(sierra); &aname(elcapitan); [#elcapitan]

**macOS Mojave / macOS High Sierra / macOS Sierra / OS X El Capitan でのアプリケーションの設定変更 [#i8a16a2b]

必要に応じて周辺アプリケーションの設定変更を行います。
これは,MacTeX や BasicTeX のユーザが該当します(Homebrew を使って mactex / basictex をインストールした場合は,パッケージ管理システムの下に置かれているため該当しません)。
なお,各アプリケーションは macOS Mojave / macOS High Sierra / macOS Sierra / OS X El Capitan 対応のためにバージョンアップしていることがありますので,macOS Mojave / macOS High Sierra / macOS Sierra / OS X El Capitan へのアップグレード後はアプリケーションも最新版に更新するとよいでしょう。

MacTeX-2014 / BasicTeX-2014 以前では,TeX 関連プログラムへのシンボリックリンクを /usr/texbin 以下に作成していました。
TeXShop などのアプリケーション(の少し古いバージョン)はこの場所にシンボリックリンクが存在することを仮定していましたので,プログラムのパスに /usr/texbin を指定していることがあります。
しかし,/usr/texbin は macOS Mojave / macOS High Sierra / macOS Sierra / OS X El Capitan へのアップグレードにより強制的に /Previous System/usr/texbin 以下に移転されていて,呼び出すことができない状態になってしまいます。

-MacTeX-2015 / BasicTeX-2015 は,OS X Yosemite までの環境で /usr/texbin のほかに /Library/TeX/texbin にもシンボリックリンクを作成しますので,単にアプリケーションのパス設定を /Library/TeX/texbin に切り替えるだけで完了します。
-MacTeX-2014 / BasicTeX-2014 以前を引き続き使い続ける場合は,例えば以下のようにしてシンボリックリンクを張り替える必要があります。(参考:[[MacTeX-2015+ and El Capitan+ (PDF):https://web.archive.org/web/20161018173954/https://tug.org/mactex/UpdatingForElCapitan.pdf]])
 $ cd /Library/TeX
 $ sudo ln -s Distributions/Programs/texbin texbin
 $ echo "/Library/TeX/texbin" >~/Desktop/TeX
 $ sudo cp ~/Desktop/TeX /etc/paths.d/TeX
そのうえで,アプリケーションの設定変更を行ってください。
ただし,''TeX Live 2014 以前に収録されている dvipdfmx は,新しい OpenType Collection というフォント形式に非対応''ですので,macOS Mojave / macOS High Sierra / macOS Sierra / OS X El Capitan に収録されているヒラギノなどのフォントを扱うことができません。
新しい MacTeX / BasicTeX をインストールするか(2014以下がインストールされていることは気にせずに新規インストールすれば結構です),IPA(ex) フォントを埋め込めばよいでしょう。

**macOS Mojave / macOS High Sierra / macOS Sierra / OS X El Capitan での注意点 [#r55ca802]

OS X El Capitan 以降のバージョンでは,セキュリティ上の理由から /usr への書き込みは出来なくなったため,各種バイナリへのシンボリックリンクが変更となります。
/usr/local 以下には書きこめるので,/usr/local/texlive はこれまでと変わりません。

|macOS Mojave / macOS High Sierra / macOS Sierra / OS X El Capitan|OS X Yosemite 以前|
|BGCOLOR(pink):/Library/TeX/texbin|/usr/texbin|
- /Library は,''ホーム直下の「ライブラリ」ではなく'',''ホームよりも上位にある「ライブラリ」''です。Finder で「移動」-「コンピュータ」として,ハードディスク名をクリックしたときに「アプリケーション」「システム」「ユーザ」と並んで見える「ライブラリ」です。

MacTeX-2015 および BasicTeX-2015 は,OS X Yosemite までのシステムには両方のシンボリックリンクを作成しますので,MacTeX がインストールする各種アプリケーションはこれまでの設定のままで動作します。
macOS Mojave / macOS High Sierra / macOS Sierra / OS X El Capitan への移行準備として設定変更も可能です。

MacTeX-2015 がインストールする GUI アプリケーション(BibDesk, LaTeXiT, TeX Live Utility, TeXShop)は /usr/texbin がデフォルトとなっているため,macOS Mojave / macOS High Sierra / macOS Sierra / OS X El Capitan での使用においては設定変更が必要です。
(その他のアプリケーションについても同様の変更が必要となるかもしれません。)

-https://web.archive.org/web/20161018173954/https://tug.org/mactex/UpdatingForElCapitan.pdf

MacTeX-2014 および BasicTeX-2014 以前をインストールしている場合,macOS Mojave / macOS High Sierra / macOS Sierra / OS X El Capitan にアップグレードすると /usr/texbin に作成されているシンボリックリンクは /usr/texbin/ から /Previous System/usr/texbin/ に移転されます。

-参考:[[(1):https://twitter.com/doraTeX/status/608620177282846720]], [[(2):https://twitter.com/doraTeX/status/608620746370260992]], [[(3):https://twitter.com/doraTeX/status/608625460453363712]]

また,macOS Mojave / macOS High Sierra / macOS Sierra / OS X El Capitan では''和文フォント周りの構成が大きく変化''しており,Ghostscript では macOS Mojave / macOS High Sierra / macOS Sierra / OS X El Capitan 付属のヒラギノフォントを埋め込むことができません。

-参考:[[(1):https://twitter.com/doraTeX/status/621217678259154944]], [[(2):https://twitter.com/doraTeX/status/621218337599586304]], [[(3):https://twitter.com/doraTeX/status/621219702774235136]], [[(4):https://twitter.com/doraTeX/status/646331410043699201]], [[(5):https://twitter.com/doraTeX/status/646376155231092740]], [[(6):https://twitter.com/doraTeX/status/646376295115288576]], [[(7):https://twitter.com/doraTeX/status/646502384059813889]], [[(8):https://twitter.com/doraTeX/status/646502515014438912]], 
[[(9):https://twitter.com/doraTeX/status/646511280858071040]]

-TeX Live 2014 以前に収録されている [[dvipdfmx]] は OpenType Collection 形式のフォントに対応していませんでした。TeX Live 2015 以降の dvipdfmx は対応済みです。
-TeX Live 2015 に収録されている [[LuaTeX]] beta-0.80.0 は,OpenType Collection 形式のフォントに対応していませんでした。TeX Live 2016 以降の LuaTeX は対応済みです。

* コメント [#b385028a]
- 「古い形式のコマンド・パッケージ・作法」の項,リンク先の内容の検証はいかがでしょう?(ほんとうに「古い」と言っていいのかどうか) -- アセトアミノフェン &new{2015-01-17 (土) 19:37:05};

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