*図の作り方 [#yca8607c] ここでは,LaTeX で使用するための図の作り方を説明します。 LaTeX における図表の取り扱いは [[LaTeX入門/図表]]で説明しています。 // 「PDFの作り方」から移転して加筆 (2015-06-22) // なぜ「PDF の作り方」に EPS ファイルの作り方が書かれていたのか… ---- #contents ---- **基礎事項 [#c05073ff] 図には大きく分けて,ベクター画像(ドロー系)とラスター画像(ペイント系)があります。 ベクター画像はいくら拡大しても滑らかであるのに対し,ラスター画像はドットの集まりで描画されているため拡大するとギザギザになります。 -ベクター画像を扱えるファイル形式:PDF, EPS, SVG など -ラスター画像しか扱えないファイル形式:PNG, JPEG, GIF, BMP, TIFF など PDF はベクター画像もラスター画像も扱えますが,せっかく PDF にするのなら,図はペイント系(ラスターグラフィックツール)ではなくドロー系(ベクトルグラフィックツール)で描くとよいでしょう。 **利用可能な描画ツール [#z05c8680] フリーソフトウェアでは [[Inkscape]] や [[LibreOffice/Apache OpenOffice>LibreOffice]] の Draw などがドロー系,[[GIMP:http://www.gimp.org]] などがペイント系です。 Windows に付属しているペイントもラスター画像を作成できますし,[[Blender:http://blender.jp]] もラスター画像を出力できます。 商品では [[Illustrator]] がドロー系,Photoshop がペイント系です。 より多くのツールを取り上げた一覧が[[描画・グラフツール]]にあります。 **EPS 形式の図の作り方 [#v1849c82] '' '''注意''':[[dvipdfmx]], [[pdfLaTeX>pdfTeX]], [[LuaLaTeX>LuaTeX]], [[LuaJITLaTeX>LuaJITTeX]], [[XeLaTeX>XeTeX]] を使う場合は,PDF, PNG, JPEG 形式のほうが便利です。'' ここでは,[[dvips]] を使う場合や学会誌の要求で EPS 形式の図を作らなければならない場合の方法を説明します。 ***ドロー系ソフトから EPS ファイルを作る [#p823e49d] ドロー系ソフトは多くの場合,EPS (Encapsulated PostScript) 形式で出力できます。 Word や DTP ソフトに挿入するときは EPS 保存時にプレビュー用のラスター画像を付けておくと便利です。 こうしておけば,画面や非 PostScript プリンターへの出力ではラスター画像が使われ,PostScript プリンター(Adobe Acrobat Distiller DC も含む)への出力にはベクトル画像が使われます。 なお,LaTeX に挿入するときはプレビュー画像は不要です。 注意すべき点を挙げておきます: -ドロー系の図には太さ 0.1 mm 以下の線を含めないでください。高解像度のイメージセッタで出力すると見えなくなってしまいます。 ***ラスター画像を EPS ファイルに変換する [#kcf62a97] 画面キャプチャーなどのラスター画像は,dvips などを使って PS を作るなら,EPS に変換する必要が生じます。 Illustrator や Adobe Acrobat DC などに貼り付けたり開いたりしてから EPS で保存することもできますし,[[ImageMagick]] や [[sam2p:https://code.google.com/p/sam2p/]] などのツールを使う方法もあります。 PostScript Level 2 の EPS は JPEG 形式を含んでいますので,正しいツールを使えば,サイズをあまり変えずに JPEG → EPS 変換できます。 写真などのラスター画像の場合,解像度は 300–600 dpi でかまいません。 詳しくは[[変換ツール]]の項目をご覧ください。 //***DVI/PDF 両形式を作成する場合の,画像の用意の仕方 [#l580b75f] //RIGHT:[[qa:32795]] // //-PDF 画像のみを用意する //→ PDF 画像は DVIOUT で表示されるが,複雑な画像の場合には表示がおかしくなる ([[qa:32767]], [[qa:32769]]) // //-EPS 画像のみを用意する //→ dvipdfmx 時に Ghostscript (or Adobe Acrobat Distiller DC) を呼び出して変換処理をするのに時間がかかる // //-PDF, EPS 両方を用意して使い分ける(DVI ファイルに EPS 画像,PDF ファイルに PDF 画像) //→ xbb ファイルの作成が面倒.また \includegraphics で画像の使い分けをする分岐命令が面倒,煩雑.([[qa:32749]]) //--texmf.cnf の shell_escape_commands に extractbb を追加する //→ xbb ファイルの作成が不要となる //--\usepackage[dvipdfmx]{graphicx} //→ いちいち EPS/PDF 画像の選択を \includegraphics 命令の分岐で行う必要がなくなる // //>いずれにせよ,''画像の EPS 版と PDF 版との間の整合性''には充分な注意を払う必要があります。 **Windows 10 のソフトから PDF ファイルを作る [#x6429408] Windows 10 は,プリンターに Microsoft Print to PDF が追加されているのでどんなソフトからでも「印刷」メニューで PDF が作れます。 **Windows のソフトから EPS ファイルを作る [#s66ac89b] EPS 形式での書き出しに対応していないソフトでも,[[Metafile to EPS Converter]] をインストールすれば EPS 形式で保存できます。Metafile to EPS Converter がうまく動作しない場合は Windows の PostScript プリンタードライバーをインストールして「ファイルに印刷」すれば,PostScript 形式で保存できます。 ただし,Windows の PS プリンタードライバーではなかなか質の高い EPS ができないようなので,別の方法も紹介します。 ***Windows の PostScript プリンタードライバーの利用 [#vb467893] コントロールパネルから[デバイスとプリンター]画面を表示し,「プリンターの追加」をクリックしてインストールできます。 インストール時にローカルプリンター(出力先 FILE:)としてください。 適当なプリンター記述 (PPD) ファイルがないなら,Generic PostScript Printer としてインストールします。 EPS 出力に設定するには,コントロールパネルから[デバイスとプリンター]画面を表示します。 「プリンター」で PostScript Printer を右クリックして「印刷設定」を選び,「レイアウト」→「詳細設定」で「ドキュメントのオプション」→「PostScript オプション」→「PostScript 出力オプション」を「EPS (Encapsulated PostScript)」にします。 保存するときはファイル名の拡張子を “.eps” にします(例:test.eps)。 この方法では BoundingBox(図の外枠の情報)が間違って附き,余白が広くなりすぎることがよくあります。 バウンディングボックスを直すには次のいずれかの方法を使います: -テキストエディタで開き,先頭附近の “%%BoundingBox: 10 20 300 400” のような行を見つけ,四つの値(それぞれ左下隅の x,y 座標,右上隅の x,y 座標,いずれも単位は 1/72 inch)を修正する -Windows の [[GSview]] というソフトでバウンディングボックスを修正する -バウンディングボックスを簡単に修正するフリーソフトとして [[Metafile to EPS Converter]] があります。 --[[PowerPoint から TeX 用の EPS ファイルを生成する方法:http://kano.arkoak.com/2015/09/26/eps/]] --[[Windows での TeX 用仮想 EPS プリンターの作成方法:http://keijisaito.info/arc/tex/v_eps_printer.htm]] --[[Excel グラフをきれいに TeX ⇒ PDF へ入れ込む方法:http://keijisaito.info/arc/tex/vector_pdf.htm]] --[[画像や写真を TeX ⇒ PDF へ入れ込む方法:http://keijisaito.info/arc/tex/picture_eps.htm]] ***ほかの方法 [#y7a78f10] Windows の PS プリンタードライバーではなかなか質の高い EPS ができず,crop しても BoundingBox の外を侵蝕するような EPS を出力することもあるようです。 -いったん Adobe Acrobat Distiller DC で PDF に変換して Adobe Acrobat DC(商品)で開き,必要な部分だけ切り抜き,EPS 形式で保存し直すほうがうまくいくかもしれません。フリーなツールでは [[ps2eps:http://www.tm.uka.de/~bless/ps2eps]] が使えそうです。 --[[EPS ファイルの作り方:http://www.iir.me.ynu.ac.jp/~maeda/comp/epstips.html]]:PS プリンタードライバーの出力を直接 ps2eps に通す方法 -EPS 出力をサポートしていないソフトウェアを使用している場合は,[[Metafile to EPS Converter]] を使うと EPS ファイルに変換できます。 -[[LibreOffice/Apache OpenOffice>LibreOffice]] の Draw には,EPS エクスポート機能があります。コピー&ペーストで Draw に貼り付け,Ctrl-A で全選択して,ファイル→エクスポートでファイル書式を EPS にすると,EPS 形式で出力できます。Ctrl-A で全選択しておかないとoundingBox がページ全体になってしまうので,お忘れなく。 **OS X のソフトから PDF ファイルを作る [#g035cf1f] OS X では,どんなソフトからでも「印刷」メニューで PDF が作れます。 これをうまく使えば EPS を経由せずに高品位の画像が挿入できます。 印刷するときに1ページだけにしておくと無難です。