*表記の哲学 [#z0617861] こだわり過ぎるのはいかがなものかとは思いますが,気にし始めると気になって仕方ないことも少なくないものです。 #ls2() - 数学的な変数(と変関数)のシンボルをイタリック体とする. -- ISOに従うと(立体(upright)ではなくて)イタリック体とするのはこれらだけとのようです。 -- 例として $f_{i} (x)$ の $f$、$i$ や $x$ がイタリック体。 -- 物理定数は数学的には変数扱い(イタリック体)とのこと(例:$c = 299{,}792{,}458$\,m/s)。 -- 数学的な定数と既定な関数(立体のまま)の例は,$\sin \uppi$。 --- 定義例(ジータ関数、ガンマ関数): \let\zetaf\upzeta \let\Gammaf\Gamma --変数もしくはquantitiesのシンボルはイタリック体とするので(ISO),下付添え字にも適用. --- The NIST Guide for the Use of the International System of Units (SI) (http://physics.nist.gov/cuu/pdf/sp811.pdf ) 内の例: --- L_P (level of a power quantity) --- \kappa_T (isothermal compressibility) --- C_p (specific heat at constant pressure) // 圧力をいつでも「p」で表すわけではないので,その解釈はむしろこじつけに近いのでは. // まあ,「誰もが英語を使っているわけでもないので,『pressure(の類)の頭文字』と // 解釈するのもこじつけだ」と言われればそれまでですが. // また,「固定する変数を下添字にする記法が用いられることもある」ので, // 「圧力を『p』で表している文脈では」定圧比熱を「C_p」と書いても構わないのですが. --- \sigma_\varOmega (standard error of solid angle) --- \omega_z (angular velocity around z-axis) - 行列変数 -- 大文字かつイタリック体(ISOに従うと) --- 例 http://physics.nist.gov/cuu/pdf/sp811.pdf -- ボールド体とする流儀の例(米国では行列変数・ベクトル変数に,立体かつボールド体表記が多用される模様) --- 例 http://physics.nist.gov/cuu/pdf/typefaces.pdf // -- 日本でボールド体が普及していない原因は? -- サンセリフ体:日本物理学会誌規定を見ると、テンソル変数・行列変数は(立体の)サンセリフ体を使用とのこと(例:$\mathsf{A}$) - 物理単位を指す変数 -- ボールドかつイタリック体(ISOに従うと) --- 例: $\boldsymbol{U} = \textrm{m/s}$ - 単位行列 $I$ (イタリック体で良いかどうか?) -- 変数ではないので,イタリック体対象外で立体のままか?(ISOに従うと) - 行列転置操作の ${}^{t} A$ や $A^{T}$(イタリック体で良いかどうか?) -- t/T は “''t''ranspose” の略.そもそも変数・変関数には属さないのでイタリック体対象外で立体のまま(ISOに従うと) --- 従って ${}^{\mathrm{t}} A$ や$A^{\mathrm{T}}$ のように立てて書く(べきという流儀がある)。 --- 念を入れると $A^{\operatorname{T}}$かも。(定義例:\def\transpose{{\operatorname{T}}}) --- \top を使う人もいる。 - 単位名は立体で表記 -- 変数・変関数には属さないのでイタリック体対象外で立体のまま(ISOに従うと) -- 例として “1 µm” (“1 μm”。Safari等の環境ではこちらが立体に見えるはず)は次のようにして表す。 // イタリック体に見える例は “1 μm” --- 1\,\textmu m(TS1 encoding: \usepackage[T1]{fontenc} と \usepackage{textcomp},さらに加えて\usepackage{lmodern} を使用.) --- 1\,$\upmu$m (\usepackage{upgreek} を使用) --- 1\,\Pisymbol{psy}{"6D}m(pifont.sty パッケージを使用) --- 1\,{\usefont{U}{psy}{m}{n} \symbol{"6D}}m (多少見映えが良くない?) --- いずれも\textmuを定義して使うと良さそう.例:\DeclareRobustCommand*\textmu{\leavevmode{\usefont{U}{psy}{m}{n} \symbol{"6D}}} -- 物理量と単位 --- 物理量[イタリック体] = 数[立体]× 単位[立体] (例:$c$=299,792,458\,m/s) (SI に従うと) --- 物理量[イタリック体]÷ 単位[立体]= 数[立体] (例:$c$ / (m/s) = 299,792,458) (SI に従うと) --- 無次元量(cycle や radian など)を考えると単純ではない 例として,ω=2 π rad/s ⇔ f=1 Hz = 1 cycle/s (慣習上、変数記号を使い分けている) - Sans-serif typeface -- SI次元表記法で使う(例:$\textsf{L}$) -- テンソル変数に使う(例:$\mathsfslbf{A}$) -多数桁数値の3桁毎区切り --見易くするために「\,」(thin space)を挿入し3桁毎区切りが許される。すなわち,299\,792\,458.(ISO流) --- 区切りに &thinsp; を使った例:299 792 458 m/s --- 区切りに narrow no-break space (U+202F) を使った例:299 792 458 m/s(Safari等の環境では空白が見えないようです) --英語流では“,”で区切って,299,792,458 (数式モード内では $299{,}792{,}458$) --- 参考情報wikipedia: http://ja.wikipedia.org/wiki/小数点 - BibTeX データの人名で,“Jr” か “Jr.” か? -- どちらも間違いではない。 -- 試しに BibTeXing (Oren Patashnik, &ref(http://www.ring.gr.jp/pub/text/CTAN/biblio/bibtex/contrib/doc/btxdoc.pdf,CTAN:biblio/bibtex/contrib/doc/btxdoc.pdf);) を調べてみると,例の中では “Jr” となっている。 -- 自分で .bst ファイルを書いて置換を行うようにすれば,最終出力をどちらかに統一できそう。 - 日付表記 -- ISO 8601 に従えば、年月日の表記は「YYYY-MM-DD」(年月日の順、区切りはハイフン)(例:「2000-12-31」) --- 中国ではこれを通常に使用する --- この並べ順(年月日)は、日本なども通常に使用する(日本の例:「2000/12/31」) (中国、日本、韓国、ハンガリー、スエーデン、フィンランド、デンマークなど) --- 区切りについては、世界的には(日本も)「/(スラッシュ)」を使用する国が多い --- 他に,区切りに「.(ピリオド)」を使用する例も見られる -- 参考情報wikipedia: http://ja.wikipedia.org/wiki/ISO_8601,wikipedia: http://ja.wikipedia.org/wiki/日付 ** ギリシア文字の大文字 [#s890dffd] ギリシア文字の大文字は、数学変数であっても伝統的には立体で表記される。TeXにおいてもこれがデフォルトとなっている(例えば$\Gamma$は立体で表記される)。 - ギリシア文字の大文字を、イタリック体表記に切り替える試み。\varGamma 等を定義するパッケージ類(amsmath パッケージ等)を用いたうえで、プリアンブルに下記を記述。 \let\Gammaf\Gamma% Gamma function \let\Gamma\varGamma \let\Delta\varDelta \let\Theta\varTheta \let\Lambda\varLambda \let\Xi\varXi \let\Pi\varPi \let\Sigma\varSigma \let\Upsilon\varUpsilon \let\Phi\varPhi \let\Psi\varPsi **日本語表記 [#p670ef1d] 日本語表記の伝統は... ***強調 [#qa4a098e] bold もしくは gothic体? (もしくはbold gothic体?) - 日本での伝統では強調はゴシック体? -- \emph{}はゴシック体としている. --何かの由来がある? - 下線を使いたがる人もいる - イタリック体も見られる(英語では強調表示の基本) - 勘案するとボールド \bfseries (\textbf) が妥当でしょうか? ***章名・節名 [#cdd3210f] bold もしくは gothic体? (もしくはbold gothic体?) - LaTeXタイプセットするとデフォルトでbold体となる. ***数値範囲 [#zd86c11e] 「○○○〜○○○」(wave dash)とするか「○○○--○○○」(en-dash、英語式)か // <!--(en-dash でつなぐのは英語式)--> - 日本の伝統は前者(wave dash) -- 日本語テキスト中では日本の伝統に従う「○○○〜○○○」が良いだろう.ただし,欧米人は日本の伝統を知らないので,〜をみると“similar to”の意味 (大体,オーダーは等しく) にしか取らない. -- 全て半角を用いて「○○○〜○○○」を書き表す場合,TeXでは $\sim$(これは半角文字)を使用(\-- を定義例: \def\--{$\sim$} ) --- TeX では、$\sim$ は wave dash と freestanding tilde (= “similar to”) の両方を表すのに用いられる. //とを異なる文字としては区別しない扱い。 -- もしも全て全角を用いて「○○○〜○○○」を書き表したい場合は,〜(U+301C、wave dash). --- 〜(U+301C、wave dash) は,~(U+FF5E、fullwidth tilde) とは異なる文字である。両者は字形がほとんど同じであったり違ったりすることがある (フォントに依存) --- これは、いわゆる波ダッシュ問題.前者は初期の Unicode 規格書の U+301C(波ダッシュ)の説明に由来し,後者は Microsoft のコード変換 (cp932)に由来する.Microsoft Vista以降では前者を正しく表示可能のはず. --- UTF-8 対応 pTeX (ptexenc ライブラリを使用) では,両者とも JIS X 0208 の 1区33点 として処理される. --- Adobe の CMap の主要なもの (UniJIS-UTF16-H など) では,両者とも CID665 として処理される. --- Adobe Acrobat Reader 文書内の波ダッシュ(の文字)を選択しコピーすると、全角チルダがコピーされることがあり、環境依存もあるかもしれない。 //(なおU+FF5EはUnicode 規格書では全角チルダとされる) ***数値・単位 [#z74ce697] - 日本では,多数桁数値は英語流に“,”で区切る表記を用いることが多い,299,792,458 - 数値と単位の間の区切り\,(thin space)は入れるべきだろうが(299,792,458\,m/s),日本では入れない人も見られる(299,792,458m/s). -- html文で &thinsp; を区切りに使った例:「299,792,458 m/s」. -- 全角で書くと日本では区切りを入れることは無い(100km). ***英語・略語等の提示 [#ra06ceb1] - 人によって各種の流儀が見られる.例:国際連合(United Nations: UN). -- なお英語では“United Nations (UN)”という具合になる。