LaTeX(および各種パッケージ)が提供するコマンドの誤用例であって, しかも,ユーザ自身ではそれが誤用であることに気づきにくいものを取り上げてみます. // そこで,ここではエラー・警告は出ないものを扱うことにしましょう. // 実際,この項を用意した動機は,エラーメッセージや警告メッセージの項では // カバーできない事例を取り上げた項も用意したい,ということですので. 厳密に「誤用」例に限ると数が集まらないでしょうから, 「各コマンドの仕様が微妙であることによるトラブル」も集めてみます. ---- *** 箇条書きの環境において,箇条書きの各項目を \item の引数にしている [#pb4e2e9c] enumerate,itemize といった箇条書きの環境 (内部で list,trivlist 環境を用いている環境)の \item は ''必須の引数をとりません''. つまり, \begin{itemize} \item foo \item bar \end{itemize} のように各項目を余分な括弧で囲まずに記述するのが''正しく'', \begin{itemize} \item{foo} \item{bar} \end{itemize} のように各項目を \item の通常の引数であるかのように記述するのは''誤り''です. この誤用がもたらす問題の一例は [[qa:30976]] にあります. \item の直後に書体・文字サイズ・色といった属性を指定した文字列を記述する場合は, 引数型の書体変更・色変更コマンドを用いるか,\item の直後に \leavevmode や \mbox{} を置いてグループに入る前に段落を開始してください. >なお,\item には項目の番号・記号を直接指定するためのオプション引数はありますが, それと混同しないでください. *** \paragraph などの後続の記述を追い込む見出しコマンドの直後で,宣言型の色変更コマンドを使用 [#u793d85b] [[qa:29823]] で例示され [[qa:29827]] で解説されているように, 標準配布のクラスファイルにおける \paragraph のような見出しコマンドの直後で \paragraph{foo} {\color{blue}Bar ...} のごとく宣言型の \color で色変更を行うと \paragraph による見出しにまで色がついてしまいます. この場合は,引数型のコマンド \textcolor を用いて色をつけてください. // 書体変更に関しても状況は同じですが,こちらに関しては \paragraph などの // 処理の内部で \normalfont などで明示的に書体・文字サイズをリセットしたのち // 改めて見出し用の書体を設定しているため,この問題は回避されています. // もっとも,色に関しては見出しにも一律に色をつける場合もあるため, // \paragraph などの処理の中に \normalcolor を仕込むことはできません.