*PSTricks [#c2b5878d]

[FIXME] 以下の内容はかなり古いので,どなたか改訂お願いします。

PSTricks は TeX,LaTeX 文書ファイルの中で PostScript
の命令を直接使って簡単に表現力豊かな描画ができる便利なパッケージ(スタイルファイル)です。
ただし,dvi ファイルに \special で PostScript
の命令を埋め込むので,
PostScript プリンタ(あるいは Ghostscript など)の利用が前提になります。
METAFONT や [[MetaPost]]
ほど洗練されていないかもしれませんが,
PostScript でできることは何でもできます。
日本語も使えますし,
曲線のパス長も METAFONT や MetaPost より長くても大丈夫のようです。

PSTricks はプリンストン大の [[Timothy van Zandt:http://www.princeton.edu/~tvz/]] が作り,
フランスの Denis Girou によって育てられ,
Sebastian Rahtz も加わって,
1997年春に PSTricks 97 として集大成されました。
その後も修正作業は続いています。
Girou による
[[PSTricks:http://www.tug.org/applications/PSTricks/]]
ホームページにはたくさんの例が載っています。
LaTeX3 プロジェクトチームによる
The LaTeX Graphics Companion
(Michel Goossens, Sebastian Rahtz, Frank Mittelbach 著, Addison Wesley, 1997)
という本にも詳しい解説があります。

>邦訳『LaTeXグラフィックスコンパニオン』が出ました
(鷺谷好輝訳,ISBN4-7561-3461-0,本体5400円,アスキー)。

PSTricks は [[CTAN]]
の graphics/pstricks ディレクトリにあります。

インストールは,TeX が /usr/local/share/texmf
以下にインストールされていれば,
PSTricks 配布ディレクトリ中の generic ディレクトリの中身は,
/usr/local/share/texmf/tex/generic/pstricks
というディレクトリを作ってその中に移動し,
PSTricks 配布ディレクトリ中の latex ディレクトリの中身は,
/usr/local/share/texmf/tex/latex/pstricks
というディレクトリを作ってその中に移動し,
PSTricks 配布ディレクトリ中の dvips ディレクトリの中身は,
/usr/local/share/texmf/dvips/pstricks
というディレクトリを作ってその中に移動します。
あとは必要に応じて contrib
の中の *.tex を /usr/local/share/texmf/tex/generic/pstricks に,
*.sty ファイルを /usr/local/share/texmf/tex/latex/pstricks [#pd13620b]
に入れます
(たとえば contrib/pst-poly の中身や contrib/misc/pst-key.*)。

dvips 用の pst-text.pro は,
アスキーのdvipsk日本語パッチに含まれる松田一朗さんの PSTricks.patch
に従って修正します。

最後に,システムによっては mktexlsr コマンドの実行が必要です。

基本的な使い方は,LaTeX2e ならプリアンブルで

 \usepackage{pstricks}

とします。さらに,特定の拡張機能を使うなら,
次のうち必要なファイルを \usepackage します。

:multido|ループマクロ
:pst-3d|3次元射影
:pst-char|文字パスのストローキングとフィリング
:pst-coil|コイルとジグザグ
:pst-eps|EPS への変換
:pst-fill|フィリングとタイリング
:pst-grad|色のグラディエント
:pst-node|ノードとその接続
:pst-plot|プロット
:pst-text|文字をパスに沿わせる
:pst-tree|木表示
:pst-all|以上すべてと,標準 graphics パッケージ中の pstcol を読み込む

これらのいずれかを読み込めば,
\usepackage{pstricks} は省略できます。

LaTeX2e 通常の graphics パッケージ集を使う場合は,
PSTricks の後にロードすれば,
同じ名前の命令は graphics パッケージの方が生きます。
graphics パッケージ集の中の color パッケージは PSTricks と併用できません。
color の代わりに graphics パッケージ集の中にある pstcol を使ってください。

以下はごく簡単な例です。

 \documentclass{jarticle}
 \usepackage{pst-node}
 \begin{document}
 \begin{center}
 \begin{pspicture}(0,0)(5,4)
 \pspolygon(0,0)(5,4)(5,0)
 \pcline(0,0)(5,4)\lput*{:U}{斜辺}
 \end{pspicture}
 \end{center}
 \end{document}

独立の EPS を作るためには,PSTricks の中の pst-eps
パッケージの PSTtoEPS という命令を使います。
ただし,これを使うと図中に文字を書き込む命令 \rput
などが使えなくなります。
文字を含む EPS を作るには,PSTtoEPS を使わず,
いったん dvi ファイルにしておいて,
dvips の -E オプションを使う方法しかないようです。
しかし,これではバウンディングボックス情報が正しく入らないため,
後で EPS ファイルを編集する必要があり,面倒です。

EPS化やPDF化に関して、最近は[[様々な方法:http://www.pstricks.de/pdf/pdftricks.phtml]]が模索されているようです。