LaTeX の機能を拡張したり、新たな機能を追加するには“パッケージ”というものを読み込ませます。パッケージの実体はテキストファイルで、いろいろなコマンドの定義が書かれています。パッケージファイルの拡張子は“.sty”です。
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例えば、多段組みを実現するために“multicol”というパッケージを利用するなら次のように記述します。
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 \documentclass{jarticle}
 \usepackage{multicol}
 
 \begin{document}
 
 ここは一段組み。
 
 \begin{multicols}{3}
 ここは三段組み。
 でも三段組みにするためにはもっと長い例文が必要なので、意味も無いことをここにだらだら書き連ねています。
 このくらい書けば三段に分かれて組み上げられるでしょうか?
 \end{multicols}
 
 \end{document}

このファイルの2行目の所にある“\usepackage{multicol}”というのが、multicolパッケージを読み込む指示です。ファイルの拡張子は省いてあっても multicol.sty というテキストファイルが読み込まれます。このファイルには multicols という環境の定義が書かれているので、本文中で“\begin{multicols}{3}”のようにして三段組みの機能を使用することができるのです。
* 各種パッケージの利用 [#k1144151]

このようなパッケージファイルは自分で作ることもできますし、他人が作ったものをダウンロードすることもできます。自分で作った場合は世界中に配布してもよいでしょう。LaTeX システムを一式インストールした場合は標準的なパッケージも既に入っています。\texmf\tex\latex のようなフォルダや、そのサブフォルダを探してみてください。上記の multicol.sty であれば \texmf\tex\latex\tools の中にあるでしょう。お使いのコンピュータの中の、LaTeX が見つけることのできる場所にパッケージファイルが置いてあれば、上記の“\usepackage”コマンドによって読み込むことができます。
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** パッケージの入手、インストール [#n0d876cf]
手元にないパッケージは外部から入手してインストールしましょう。
世界中に公開されているパッケージは[[CTAN]]サーバーからダウンロードできます。あるいは、パッケージ作成者の方が個人のウェブサイトからダウンロードできるようにしているものもあります。

*** ダウンロードするファイル [#w767dc76]
パッケージ本体のファイル(“.sty”)だけでなく関連する他のファイルも一式あった方が良いでしょう。それぞれ用意されていたり用意されていなかったりします。
: .sty | パッケージ本体
: .dtx | パッケージ本体と説明文書を合わせたもの
: .ins | dtx ファイルから、パッケージ本体である sty ファイルを生成するためのもの
: readme.txt など | ダウンロードする前に読むべき説明書。ファイル名は“Read me.(=私を読んで)”ということ
: .pdf | 説明文書(PDF形式)
: .doc | 説明文書(txt形式。“doc”という拡張子であっても Microsoft Wordの文書であることは稀で、単なるテキストファイル)

パッケージ本体が用意されていない場合がありますが、そのときは dtx ファイルと ins ファイルによって本体を生成します。関連のあるパッケージ群をひとまとめにして配布している場合などは、一つの dtx ファイルから複数のそれぞれ異なる名前の sty ファイルを生成することもありますから、目当ての sty ファイルが無い場合には他の名前の dtx ファイルや ins ファイルが必要となるかもしれません。例えば、multicol.sty を生成するためには multicol.dtx および tools.ins が必要となります。

*** インストール [#n18c984a]
パッケージ本体である sty ファイルがあれば、それを LaTeX が見つけることのできる場所に保存すればインストールは完了です(注:下記「mktexlsr について」を参照)。

パッケージ本体である sty ファイルが無い場合には、他のファイルから生成します。dtx ファイルと ins ファイルを同じフォルダに保存した上で、LaTeX に ins ファイルを処理させます。例えば multicol.sty を生成するにはコマンドラインから
 platex tools.ins
を実行します。tools.ins には、multicol.dtx を読み込んで multicol.sty を生成するような指示が書いてあるので、そのとおりに sty ファイルが生成されます。(このときに、説明文書や使用方法を示すサンプル文書が一緒に生成されることもあります)

無事に sty ファイルが生成されたら、それを LaTeX が見つけることのできる場所に保存すればインストールは完了です(注:下記「mktexlsr について」を参照)。

dtx ファイルから説明文書を生成することもできます。そのためには単に dtx ファイルを LaTeX で処理すればよいのです。例えば multicol パッケージの説明文書が欲しければ
 platex multicol.dtx
を実行します。すると、通常の TeX 文書を処理したときと同様に multicol.dvi という dvi ファイルが生成されます。これが説明文書です。

*** mktexlsr について [#tc299bdb]
(誰かお願いします。)