[[TeX Q & A:http://oku.edu.mie-u.ac.jp/~okumura/texfaq/qa/]] (15265, 15262, 15261, 15258, 15256, 15254, 15251, 15249, 15244, 15242, 15239, 15236, 15235, 15233, 15184, 15175, 15174) より:

TODO: [[Q&A11579:http://oku.edu.mie-u.ac.jp/~okumura/texfaq/qa/11579.html]] 以下の議論

-そのまま引用して貼り付ける
-内容をまとめながら示す

ことへの指針はまったく定まらないが,今は後者を取ろうと思う.

*対立項 [#x8b1c3a7]
-$dx$ か $\mathrm{d}x$ か
-$\Delta$ か $\varDelta$ か ($\Delta$ 記号は右下が鈍角になるべきだ)
-ベクトルはbold italic か bold upright か

*ISO / JIS 派 [#s00d4318]

-[[JIS Z 8201-1981:http://www.webstore.jsa.or.jp/webstore/Com/FlowControl.jsp?lang=jp&bunsyoId=JIS+Z+8201%3A1981&dantaiCd=JIS&status=1&pageNo=0]]
-[[ISO 31-00 1992:http://www.webstore.jsa.or.jp/webstore/Com/FlowControl.jsp?lang=jp&bunsyoId=ISO+31-0%3A1992&dantaiCd=ISO&status=1&pageNo=0]] / 
[[ISO 31-11 1992:http://www.webstore.jsa.or.jp/webstore/Com/FlowControl.jsp?lang=jp&bunsyoId=ISO+31-11%3A1992&dantaiCd=ISO&status=1&pageNo=0]]

-$\mathrm{d}x$ ですし,自然対数の底も $\mathrm{e}$ ですし,
円周率も $\pi$ ではなく立体のパイを書かなければならなくなります。積分
記号も $\int$ を立てなければなりません。オーダーは $\mathrm{O}(x)$ と
なります。では一般の関数も $\mathrm{f}(x)$ なのか? となると,だんだん
わからなくなってきます。

-長年の伝統に培われた決まりがあるにもかかわらず ISO が「頭だけで考えて合理的な」案を採択してしまった
-ISO は少々強引なのかも
-強引さはあるにしても、分かり易くてよい
--数学関係よりも,物理関係の方が記号に意味を持たせることが多い故に,JISに従っている割合が高かったような気がします.と言っても従っていない書籍も多いのですが(の方が多い?).
---"d" も厚さの量記号 '''d''' と微分の d で,同じ式中に現れることもしばしばです.どっちの意味なのか?ってくらい見て分かれよ,って意見ももっともなのですが,そういったことをしっかり書き分けると,数式が映えると思います.
---添え字の扱い方もけっこうぞんざいなのですが,量記号を表しているならイタリック,文字,略語を表しているのならローマン($I_i$←inputのiならローマンにすべき)と書き分けてくれると,やはりパッと見たときの分かりやすさが変わると思います.
-ISO に従うと、ソースが汚くなる上に入力の手間が格段に増える
-TeX で ISO にのっとった出力をする為の簡便な方法が用意されていれば、状況も変わるのかな。
--例えば、定数の pi や e に対しては \cpi \ce で出力出来るようになっているとか。
-確かに合理的ではあるだろうが,従来のものを見慣れている人は,そう簡単には転向できない

-少し前にご紹介した横尾先生の本には,略語の場合に立体にすると書かれていました。
--例には order の O(x) も入っていました
--(例の中で何の略語かがよくわからなかったのが工学系の虚数単位 j だけです)。
---これは電気系で虚数単位 i を使うと,電流 i と混同してしまうために無理矢理 j にしたと勉強しました.こんなこじつけも,イタリックとローマンをきちんと書き分ければ避けられた問題だと憤慨しています.
--この流儀でいけば,πは略語ではないので斜体でいいのでしょう(あ,perimeterの略?)。
---πはJISではローマン体
--f (function) がイタリックなのかが気になる
-一方,ISOは変数は斜体,定数やオペレータは立体(でも f(x) は例外)ということだったと思います(e は定数だが光速 c は定数ではない?)。
--ちなみに,π (3.14),e (2.71),i (-1 の平方根) 等は単位を持たない(何かの物の量を表さない)【定数】で,c (光速),G (万有引力定数)等は,単位を持つ(何かの物の量を表す)【物理定数】という分け方で,これがイタリックとローマンの分かれ目になっているとどこかで知りました.

-いま日本エディタースクール『標準編集必携第2版』を見たら,点 P は立体だけれど線分 PQ は斜体だと書いてありました(これも高校教科書とは違いますね)。

**立体のπの書き方 [#s119d912]
-$pi$ を立てる?
-奥村さんの本の p.233 Symbol (pifont) --- \Pisymbol{psy}{"70}
-t(p)xfonts 限定で "\piup", "\deltaup", ・・・ というギリシャ文字直立体の命令がある

*伝統派 [#o924c33b]

-sin,cos の類や kg 等の単位を除いてはイタリック体で組む

-ある程度決まり事ができているのにも関わらず,その約束を徹底せず,思いのままに数式を書いて出版し,それを読者が見て学んでしまう・・・ という流れ
-ISO 表記法を知らない人はともかくとして,ISO のルールを知っていても,今のイタリック表記が美しいと思って使っている方たちも多いはずですから.長年この形が変わらず使われてきたのは,やはりこれにはこれの「完成された美しさ」があるからなのかもしれませんね.
-美しい,美しくない,という問題以前に,数学上の記述を ISO 的に行うと意味の面で不適切になる場合もあるのです.
 %%% そもそも \int f(x) dx の dx は ``測度(に対する符牒)'' である場合と
 %%% ``微分形式''(丁寧には ``f(x) dx'' で 1 つの微分形式ですが)である
 %%% 場合があります.前者の場合には決して ``d を x に作用させたもの'' では
 %%% ありませんから d を作用素とみて立体で表記するのはむしろ誤りになります.
 %%% 一方,微分形式の文脈では d を(微分)作用素とみるのは妥当ですが,
 %%% その場合でも(sin のような)``固有名詞的'' な作用素であるか,
 %%% と問われると,首を傾げざるを得ません.
-また,定数は立体,変数はイタリックという使い分けについても,数学では何が変数であるかは ``文脈依存'' ですから,厳格に使い分けると収拾がつかなくなります.
 %%% まあ,自然対数の底のような ``常に定数扱い'' のもののみ立体表記,
 %%% というのであれば,多少は納得しますが.
 %%% %%% そもそも,数学には ``変数'' というものはありませんね.
 %%% %%% (変数のように見えても,とりうる値のうちの任意の 1 個に
 %%% %%% 固定した状態で議論を行います.(そして,必要に応じて
 %%% %%% 個々の値に対する結果を集めるわけです.))
-数学に ISO 的なやり方を持ち込まれるのには閉口しますが,一方で工学系などの文書で \int f(x) \mathrm{d}x といった表記を用いるのも,それはそれで尊重

*具体例 [#l237f2fe]
-Knuth の本をはじめ米国のものは今でも「伝統派」が多い
-日本の教科書も岩波数学辞典(版による?)も「伝統派」
-ISO のお膝元のヨーロッパでは立体派が多いようだ (しかし Elsevier の本は統一されていない)
-さきごろなくなられた森口繁一先生(東大工学部計数工学科教授)の著書では、初期に書かれたものは、イタリック体でしたが、ISO(JIS) が制定されたころからでしょうか、立体を使われるようになりました。
--たとえば、『数値計算工学』(1989年、岩波書店)では、$\frac{\mathrm{d}x}{\mathrm{d}t}$とか、$\mathrm{e}^x=1+\frac{x}{1!}+ \cdots$ とか書かれています。
-Phys. Rev.をはじめとする米国の出版物はイタリックになっているようです。
-日本物理学会の英文論文誌では,微分の d,exponential の e,虚数の i (j も?)を立体にしています。
-応用物理学会や電子情報通信学会の英文誌は,原則的に米国式のイタリックのようです。
-数学系の英文論文誌もイタリックのようです。
-(高名な先生によると,米国はすぐルールを無視するとのことです)。