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\documentclass[12pt]{jarticle}
\usepackage{enumerate}
\begin{document}
二江 隆之 平成16年6月21日
\setcounter{section}{2}
\setcounter{subsection}{9}
\setcounter{equation}{58}
系12.$A$を正定値行列とする。そのとき、
\[
|A|>0, tr(A)>0
\]
である。\\
(証明)$\lambda_i(i=1,2,...,m)$を行列$A$の特性根とする。
\[
|A|=\PI_{i=1}^{m}{\lumbda_i}, tr(A)=\sum_{i=1}^{m}{\lumbda_i}
\]
であることから、命題59よりすぐさま証明できる。(証明終)\\
系13.$A$を準正定とし、正定ではないとする。このとき、
\[
|A|=0, tr(A)\le 0,
\]
そして、
\[
tr(A)=0
\]
となるのは唯一$A$が零行列のときだけである。\\
(証明)
\[
|A|=\PI_{i=1}^{m}{\lumbda_i}
\]
より、命題60より$|A|=0$と結論する。\\
次に、
\begin{equation}
A=Q'\Lumbda Q
\end{equation}
となり、
\[
tr(A)=0
\]
は、唯一、
\[
tr(\Lumbda)=0
\]
のときになりたつ。\\
しかし、
\[
tr(\Lumbda)=\sum_{i=1}^{m}{\lumbda_i}=0, \lumbda_i\le 0 {(すべての$i$について)}
\]
であることは、
\[
\lumbda_i=0, (i=1,2,...,m)
\]
を示している。このことを踏まえると、式(59)は、
\[
A=0
\]
を暗に示している。\\
したがって、$A$が零行列ではないとき、
\[
tr(A)>0
\]
となる。(証明終)\\
系14.$A$を次数$m$の定値行列とする。そのとき以下のような正則な行列$W$が存在する。
\[
A=W'W
\]
(証明)命題58,60,61より明らかである。(証明終)\\
Hithertofore今まで 特性根と特性ベクトルを考えるとき、前後関係から特性方程式を以下のようにしてきた。
\[
|\lumbda I-A|=0
\]
しばしば以下のように、特性根と特性ベクトルの定義を拡張することはより便利である。\\
定義34.$A,B$を次数が$m$のベクトルとし、$B$は正則であるとする。$B$のメートル法において $A$の特性根、それらの連結的な特性ベクトルは以下の関係式で結ばれる。
\[
Ax=\lumbda Bx
\]
ここで$\lumbda$は特性根で、$x$は連結的な(零でない)特性根である。\\
注36.$B$のメートル法における $A$の特性根は以下の多項式をとくことで得られることは明らかである。
\[
|\lumbda B-A|=0
\]
このことは$B$を恒等な行列に置き換えたものの特性根の定義の簡単な一般化である。\\
定義34は(準)正定値行列の違いや、特にそれらの違いが(準)正定値なのかどうかを決定するのにきわめて有用である。これは二つの推定量の相関的な効力の問題と直接関係している。\\
命題62.$B$を正定値行列とし、$A$を(準)正定値行列とする。Bのメートルほうの $A$の特性根は、$\lumbda_i$であり、もし$A$が正定値なら、
\[
\lumbda_i>0, i=1,2,...,m,
\]
となり、$A$が準正定値なら、
\[
\lumbda_i\le 0, i=1,2,...,m,
\]
となる。\\
(証明)
\[
|\lumbda B-A|=0
\]
を考える。$B$は正定値なので系14より正則な行列$P$が存在する。
\[
B=P'^{-1}P^{-1}
\]
したがって、
\[
0=|\lumbda B-A|=|\lumbda P'^{-1}P^{-1}-A|=|\lumbda I-P'AP||P|^2
となる。そのようにして、Bのメートル法による $A$の特性根は簡単に$P'AP$の通例の特性根であり、つまり、
\[
|\lumbda I-P'AP|=0
\]
の解となる。もし$A$が正定値ならば$P'AP$もまた正定値である。もし$A$が準正定値だけならば$P'AP$も準正定値だけとなる。それゆえに、前者ならば、
\[
\lumbda_i>0, i=1,2,...,m,
\]
後者ならば、
\[
\lumbda_i\le 0, i=1,2,...,m
\]
となる。(証明終)\\
非常に有用な結果は以下である。
\end{document}